2010年03月30日

ブノワ(7):荘厳ミサ[1]

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僕が好きなブノワの曲について、これから少しずつ書いていきたいと思う。
最初に取り上げるのは…やはりこの曲だ。

§Hoogmis(荘厳ミサ)【宗教曲四部作〜第2曲】
・作曲/初演 1860年、パリ/1860年7月、ブリュッセル
・演奏時間  約55分
・編成    フルート2、オーボエ2、クラリネット2、バスーン2
       ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ
       ハープ1、弦五部、オルガン
       テノール独唱、二重合唱(大、小)

[キリエ]
Tamelijk breed(かなり幅広く)ニ短調 3/4拍子

冒頭、男声合唱がppで歌う「主よ、憐れみたまえ」で神秘的に始まる。
所々、小合唱の応答がエコーのように響く。
管弦楽のクレシェンドに導かれた後、第一の主題が小合唱により歌われ、大合唱がそれに応える形となる。
この主題、
「・ミファ|ファーミ|レ#ーミ|ミーー|〜」(移動ドにて表記)
と、半音階進行のみによるメロディである。
苦悩、葛藤、あるいは憐れみの希求の表現であろうか。

平行調であるヘ長調に移り「キリストよ、憐れみたまえ」の中間部へ。
慰めるような、柔和な第二の主題が大合唱により最弱音で歌われ、そこに流麗な小合唱の対旋律がからむ。
さらに、ここでの小合唱は四声で技巧的なカノンを形成し、素朴な第二主題とは対照的である。
この中間部、真に心にしみるひとときである。

クライマックスに達したのち急速に静まり、第一主題部が回帰。
最後は序奏部の気分に戻り、消え入るように終わる。
(つづく)
posted by 小澤和也 at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽雑記帳