2010年04月01日

ブノワ(9):荘厳ミサ[3]

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〜Hoogmis(荘厳ミサ)のつづき〜


[ディスク紹介]
僕の知る限り、この曲のCDは1種類だけ出ている。

A.ラハバリ指揮 BRTNフィル、同合唱団他、D.ジョージ(テノール)
レーベル:ベルギー、Classic Talent

2003年リリース。デジタル録音。
録音年などは不詳だが、「アントワープ・聖ミカエル教会でのライヴ」と記されている。
これが最良の演奏であるかはともかくとして、唯一のディスクとしての価値は充分にあると思う。
残響が多く、曲の雰囲気はよく出ている。


[クレード]
Tamelijk breed(かなり幅広く)ニ短調 3/4拍子

大きく分けて4つの部分からなる。
序奏部、管楽器の主和音がppで響く中、弦楽器によってややためらうように、単純な上行・下行音型がやはりppで奏される。
これが下属和音上で繰り返された後、今度は上行音型のみが畳み掛けるように速度・音量を増してゆき、主部へと進んでいく。

Statig(荘重に)に入り、大小合唱の力強いオクターヴ跳躍による「われ信ずる」がユニゾンで歌われ、長大なクレードが幕を開ける。
「全能の父を」以降、小合唱がユニゾンで第一の主題を提示、四分音符による確固たる歩みを表すかのような伴奏音型がこれを支える。
大合唱はオクターヴのモティーフで応ずる。
この部分、キリエと同じくニ短調ではあるが決して暗くはなく、むしろ肯定的な、確信に満ちた音楽である。
やがてヘ長調に転じ、「神からの神を」の部分から新しい主題が現れる。
「ドーー|ーレド|シドレ|ミーー|ミーー|ーファ#ミ|レ#ミファ|ソ〜」
と、じわりじわりと高みへと昇っていくような音型である。
ここでもオクターヴのモティーフが要所要所で響き渡る。
やがて第一の主題が、今度は大合唱のユニゾンで歌われ、小合唱の交唱となって堂々と第一の部分を締めくくる。


Breed en geheimvol(幅広く、神秘的に)変ロ長調 4/4拍子

低弦のピツィカートに導かれて、第二の部分に入る。
ここから雰囲気は一変し、大合唱がpのユニゾンで「聖霊によって肉体を受け」とささやくように歌うと、小合唱のSoloが清澄な和音を伴って応える。
両者の掛け合いが、静かな、このうえなく深い感動をもたらす部分である。

やがて、低弦に重々しく足を引きずるような音型が現れ、「十字架にかけられ」が小合唱によって悲痛な表情で歌われる。
この間、大合唱は付点音符による葬送のリズムを受けもっている。
息絶えるようにすべての音が消えると同時に、箴言のようなホルン信号(a-e-a音)が鳴り響き、次に起こる「何か」を予感させつつこの部分を閉じる。

(クレードの項 つづく)
posted by 小澤和也 at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽雑記帳