[サンクトゥス]
Andante quasi andantino 変ホ長調 4/2拍子
冒頭、無伴奏の女声四部合唱(※)がゆったりと美しく「聖なるかな」と歌う。
ハープの分散和音がこれに寄り添うように響き、続いてオルガンが即興風な和声的パッセージを静かに奏でる。
(Praeludium, Lento e grave)
このパターンが計3回、調性を変えて繰り返された(変ホ長調→ト短調→変ロ長調)後、新しい音型で合唱が「万軍の主なる神」と力強く歌う。
ハープがそれに鋭く応え、さらにオルガンも足鍵盤を加えたffで壮麗な和声を響かせ、Dの和音上に留まる。
すると、小合唱と弦楽による「天地はあなたの栄光に満ち」の堂々としたメロディが堰を切ったように流れ出す。
すぐに大合唱がハープ、オルガンを伴って同じ歌詞を
「ド-シ-ド-ラ-ラ-ソ…」(表記は移動ド)
の特徴的な音型に乗せて唱和する。
(この音型は次の[ベネディクトゥス]においても現れる)
最後に、全合唱と管弦楽が一体となって
「天のいと高きところにホザンナ」
と転調を重ねつつ歌い、変ロ長調(属調)でこの章を結ぶ。
この[サンクトゥス]は2分ほどの短い楽曲であるが、次の[ベネディクトゥス]と密接な関連を持っている。
※スコアには"Knapen"=少年(複数形)と記されており、実際この四声体を少年合唱で歌った場合の効果は絶大だと思う。
(私が持っている音源でも少年合唱が用いられている)
(つづく)
2010年10月31日
2010年10月29日
根拠のない自信を持て

雨の木曜日。
脳科学者・茂木健一郎さんの講演「脳から見た英語上達法」を聴く。
(新宿紀伊國屋サザンシアターにて)
最近ちょっと彼に「ハマって」いて、何冊か本を読んでいたところだった。
下手袖より茂木さん登場。
まず、今回発売される茂木さんの英語教材の宣伝をさらりと。
(実際は…この発売に合わせての講演であるらしい)
すぐに本題へ入る。
『日本人はなぜ英語が苦手なのか』
を切り口に、
・明治時代からの「翻訳文化」の発達とその功罪について
・「英語が出来なくても幸せに生きていける日本」に、現代の我々日本人が適応してしまっていること
そして
・英語を「翻訳」して理解している限り、スピードにおいて世界の仲間に入れない
と彼は厭味無く言い切る。
客席の我々に向かって、
「自分のやってることが "worldwide" だと思って仕事をしていますか?!」
とも。
『根拠のない自信を持て』
結び近くでの茂木さんはこうおっしゃった。(この言葉、僕も大好きだ)
もちろんこれには続きがある。
『そして、それを裏付ける努力をせよ』
80分間、休憩無しで一気に。
あることを話しているさなかにも、次々とアイディアが浮かぶのであろう…
話題が横道に逸れることしばしば。
それがまた面白い。
モーツァルトは作曲するとき、「楽想が頭に浮かぶ速さに、音符を五線紙に書き込むスピードが追いつかなかった」そうであるが…
昨日の茂木さんのおしゃべりもまさにそんな感じであった。
2010年10月27日
楽聖たちの息吹にふれる

気持ちのよい秋晴れの午後。
川口のリリアへ出かけた。
お目当てはこれ↓
「3人の偉大なる楽聖たち
モーツァルト・ベートーヴェン・シューベルト 資料展」
展示品は全部で10点ほど。
ウィーン楽友協会資料館が所蔵する肖像画や自筆譜などである。
その中でもっとも目を引いたのが…
「フリードリヒ・アウグスト・ティッシュバインによる
モーツァルトの肖像画 1790年」(日本初公開)だ。

率直な感想は〜これがモーツァルトかぁ…といった感じ。
これまで目にしていたものとはやや違った印象だ。
(1790年ということは…死の前年である)
自筆譜も面白かった。
モーツァルトの、淀みなく流れるような軽やかな筆運び。
やや太めの筆跡で整然と並ぶ、シューベルトの音符たち。
一方、ベートーヴェンのそれは(スケッチということもあろうが)、殴り書きのようでぱっと見ほとんど判読不能だ。
三者三様の性格の違いを見るようで、とても興味深かった。
20分ほどであっという間に観終えてしまったが、まずまず楽しい展示だ。
ただし、掲示されている資料に誤記が多いのはちといただけない。
ベートーヴェンの第3交響曲が「作品551」となっていたり…
(正しくは55。551は「ジュピター交響曲」のケッヘル番号)
シューベルトの没年が「1827年」になっていたり。
(1828年が正解。ベートーヴェンの没年が1827年)
§川口総合文化センター・リリア 催し広場にて
11月2日(火)まで
2010年10月25日
ノリグラフ五線ペン

池袋のヤマハで購入。
「きれいな五線が引ける!」とTwitter上で紹介されていたのを見て、興味本位で予約してみた。
大きさは思っていたよりコンパクトでgood。
(シャープペンシルよりも短い)
キャップを外すと、普通のボールペンの芯が5本並んでいる。
それだけと言えばそれだけ…実にシンプルな構造。
箱の側面には、ドイツ語で "Notenlinienschreiber" とある。
「五線筆記具」か…なるほど、そのまんまだ。
商品名も、これを縮めてこしらえたのだろうか。
Notenlinien→Noli、それにgraphを繋げて…
帰宅して、さっそく試してみた。
定規を当てて、さっと引いてみたが…
ん?4本しか引けない。
確かに、理屈のうえでも、ペン先が高い精度で揃っていなければ五線は引けない。
改めて現物を見るが、やはりそれなりの揃い具合である。
定規を当てたままグリグリと2〜3往復させると…
何とか五線が引けた。
しっかり筆圧をかけてゆっくりと動かせば、上手く書けるようになるかも。

ちなみに、線と線の間隔は約2.5mm。
よって約1cmの幅の五線が引けることが判った。
(僕にはちょうど良い)
ドイツ製、1680円。
高いか安いか…?
まあカタイことを言わなければ、面白いグッズであろう。
2010年10月22日
het dagboek【日誌】

朝、合唱団あしべの稽古へ。
今日も「てっせん・どくだみ」(新実徳英作曲「花に寄せて」より)をさらう。
リズム、そして和声的にとても難しい部分の連続。
悪戦苦闘の2時間だった。
ここを乗り切れば…
気持ち良く歌えるような新たな展開が待っていよう。
焦らず、根気よく。
ここ最近、オランダ語で日誌をつけている。
とは言えほんの数行ずつ、
まだ「○時に起きる」「〜を聴く」「…を買った」etc.
程度の内容だけれど…
「とりあえず書いてみる」「とにかく続けてみる」
の気持ちで。