2011年03月18日

祈りの音楽 〜J.S.バッハ〜

平均律クラヴィーア曲集 第1巻
 〜前奏曲とフーガ第22番 変ロ短調

18世紀ドイツの大作曲家、ヨハン・ゼバスチャン・バッハ。
敬虔なプロテスタントであり、各地の教会のカントル(音楽監督)を長く務めてきた彼の音楽は、ある意味ほとんどすべてが「祈りの音楽」と言ってよいのかもしれない。
この「前奏曲とフーガ」もクラヴィーア(鍵盤楽器)のための作品である。

僕がこの曲に強く惹かれるようになったのは、ごく最近のことだ。
きっかけは、ツイッターで偶然知り合ったデュッセルドルフ(ドイツ)在住のテノール歌手、山枡信明さんとのやり取りである。
山枡さんとのことは、いつか改めて書こうと思う。

重い足取りでゆっくりと進む前奏曲。
リズムの反復が「一途な想い」を、
上行を続ける旋律線は「高みへの永遠の憧れ」、
そのラインは、見えない存在への問い掛けのようにも、また自問自答のようにも聞こえる。
続くフーガでは、哀しみをたたえた美しい主題が「重層の建築のように重々しく、どこまでも整然と力強く」(吉田秀和氏の著作より)連なってゆく。
[ちなみに、僕が聴いているのはE.フィッシャーの演奏する盤である。]

受難曲やカンタータのようにテキスト(歌詞)こそ持たないが、このうえなく深い祈りの感情にあふれた作品だ。

  いま、僕の心は
  この曲によって
  どれだけ救われていることだろう...
posted by 小澤和也 at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記