2011年12月07日

ブノワ(29):ドラマ・クリスティ[1]

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久しぶりに、我がペーテル・ブノワの作品について書いてみたい。


§DRAMA CHRISTI (キリストのドラマ)

1871年(ブノワ37歳頃)の作曲。
表紙タイトルの下にフラマン語(オランダ語)で
"Geestelijk Zanggedicht" と書かれている。
直訳すれば「宗教的音楽詩」、いわゆるオラトリオと考えてよいだろう。

タイトルは上述の通りラテン語だが、テキストはオランダ語による。
ドラマ・クリスティを作曲した頃のブノワについて、J.デウィルデさんの文章から引用すると…
 
 アントウェルペン市の音楽学校校長に任命(1867年)された後も、
 ブノワの宗教音楽への熱意は不変であった。
 作曲家としてのみならず、大聖堂の音楽監督の職にあり、この地位
 において彼自身の「国民のための音楽」のプリンシプルを宗教音楽
 にも適用することを試みた。
 彼は、コラールの歌唱を自国語で行うことを主張した…それにより
 会衆が音楽に、そして典礼により深く携わるようになる、と。
 ブノワはさらに、主要な宗教曲が自国語で作曲されることを望み、
 その実例として「ドラマ・クリスティ」を書いた。
 (ブノワ/20のモテット CD解説より)

楽曲は三部構成。
アレルヤの序章の後、合計15の場面(楽章)に分かれている。
キリストの誕生から受難までを、聖書のテキストによって描き進む形をとる。

この曲の最大の特徴はその編成ではないだろうか。
スコアによれば、
「独唱、大小の男声合唱、オルガンと管弦楽のための」とある。
独唱も3人の男声(テノール、バリトン&ベース)を想定しているようだ。
配役は
・語り手1(テノール)
・イエズス(バリトン)
・語り手2、洗礼者ヨハネ、悪魔、ユダ、大祭司、総督(以上ベース)

また、オーケストラの楽器編成も
チェロ、バス、トランペット、トロンボーン&ティンパニ
と、かなり独特である。
(彼の「Hoogmis 荘厳ミサ」中のベネディクトゥスで聴かれる、やはりチェロ&バスを柱としたサウンドを想起させる)

このヴォーカルスコア、つい最近ようやく手に入れたものだ。
でも音楽は…
実演はもちろん、録音でもまだ聴いたことがない。
(おそらく、母国ベルギー以外ではあまり演奏されないのではないか)

いずれぜひ、僕自身の手で、
そしてこの耳でブノワの響きを確かめたいと思っている。

(つづく)
posted by 小澤和也 at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽雑記帳