2012年01月29日

千秋楽

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新国立劇場「ラ・ボエーム」、
全5回の公演が終了した。

千秋楽の今日は、僕もバンダのメンバーも気合い十分だ。
第2幕の大詰め、カルチェラタンに集う群衆の喝采を浴びながらの行進は真に快感。

カーテンコールでお客様からの温かい拍手を浴びる。

客席を見つめながら、こんなことを考えた。

バンダの出番なんてホンの一瞬。
それに、物語の本筋とも大して関係しない。
〜でも、やっぱり必要な存在なんだよな…

第2幕が終わり、緞帳が下りたあとの舞台上で、いつも満面の笑みで僕に
「お疲れさまでした!」
と声をかけてくださる役者さんがいらした。

彼の役は「群衆をかき分けて軍楽隊の通る道をあける警官」。
彼だって、客席からはほとんど舞台の背景の一部のようにしか見えなかったと思う。
にもかかわらず、顔の表情から指先の動きまで、実に血の通った演技なのだ。
個々には際立たなくとも、全体の中で不可欠な存在というものがあるのだ…
ということを彼から改めて教わった気がする。

そして思った。
「これが…オペラを創るということなのだな」

音楽スタッフ、そして衣裳・メイクのスタッフの皆さんには今回も大変お世話になりました…感謝。
posted by 小澤和也 at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年01月28日

三菱電機SWO定演

三菱電機ソシオテックウィンドオーケストラ第19回定期演奏会、おかげさまで盛況のうちに終演いたしました。
寒いながらも天候に恵まれ、約850名のお客様においでいただきました。
ありがとうございました。

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第二部ステリハ風景


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大序曲「1812年」で用いたキャノン砲=横置きしたバスドラム

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司会のKさん(右)とMさん(左)

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2012年01月25日

フルトヴェングラー

今日は、僕にとって畏敬の存在であるW.フルトヴェングラーの誕生日。
(1886年生まれ)

帰宅後、彼の遺した録音をいくつか聴く。
まずはベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲、メニューインと組んだ’53年のセッション録音である。
独奏楽器と管弦楽が対等に渡り合う「交響的協奏曲」とも言えるこの作品の持つ美質が、ストイックかつ美しい造形感覚をもって表現されている。

〈フルトヴェングラーの演奏の本領はライヴでこそ味わえる〉
とよく言われるが、
セッション録音にこそ、文字通り「後の世に遺す」という強い意志が僕には感じられるのだ。

次に取り出したのが、ヴァーグナー/管弦楽曲集。
(こちらはすべてライヴ録音だ)
マイスタージンガー前奏曲、タンホイザー序曲、トリスタン〜前奏曲と愛の死、他…

彼の最大の美質、即興性の迸りに「正妻」ベルリンフィルがピタリと寄り添うさまには、ただただ感嘆するのみだ。
まさに「生きている音楽」。

今ちょうど、最後の収録曲
神々の黄昏〜ジークフリートの葬送行進曲が終わった。
〜バースデーコンサート、これにて終了〜
posted by 小澤和也 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年01月23日

F川先生の誕生日

カレンダーをぼんやり眺めながら、時折思うことがある。
「ああ、明日は○月○日か…
○○さんの誕生日だったな」

1月23日と知って、ハッと思い出した人がいる。
中学校で教わった、社会科のF川先生。
チーズが大嫌いで、可愛いライオンの絵を描くF川先生だ。
卒業してからおそらく一度もお会いしていない。
なのに、どうして覚えているかというと…

F川先生は面白い方で、定期テストの解答の中にご自身のお誕生日をこっそり忍ばせたことがあったのだ。
文章の穴埋め問題、全6問、選択肢付き。
(1)〜(6)まで、すべて正答を選ぶと
1,9,5,2,12,3
となるように問題が作られていたのだった。
もちろん、1952年1月23日ということだ。
「みんな、これで僕の誕生日を覚えたよね⁈」
とおっしゃったかどうか…
そのあたりの記憶は定かでないが。

ここまで思い出して、ハタと気づく。
1952年生まれということは、
〜ちょうど60歳になられたのですね!

お元気でいらっしゃるだろうか。
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2012年01月19日

「ラ・ボエーム」初日

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新国立劇場オペラ「ラ・ボエーム」、
公演初日。
2003年のプレミエ以来、ずっとご一緒させていただいている大切なプロダクションである。

第2幕の大詰め、帰営する軍楽隊の行進を率いるバンダ隊長が僕の役。
これまでに何度となく歩いているわけだけれど、初日はやっぱり緊張する。
(特に舞台に出る瞬間が)
ただし、ひとたび出てしまった後は…
しばしピットのオーケストラは止み、大群衆のコーラスとバンダだけになる。
この数十秒間…快感だ。

楽屋に戻って、着替えとメイク落としを済ませてから、モニター越しに3&4幕を観た。
第4幕に、僕が大好きで大好きで仕方のない場面(というか音楽)がある。
それは…

コッリーネがアリア「古い外套よ」を歌ったのち、傍らのショナールに
〈ミミとロドルフォを二人きりにさせてやろう〉
と促す。
ショナールが同意して部屋を出ようとするときに…
いつも快活に、弾むように流れていた『ショナールのテーマ』とも言うべき旋律が、実にしっとりと緩やかに奏でられるのだ。
この場面になると、もうウルウルと来てしまう…
もちろん今日も。

粟國淳さんの演出が本当に美しい。
それから、ミミのカンタービレ、マルチェッロの飛び切りの美声が素敵だ。

公演はあと4回。
常にリフレッシュした気分で、次も行進するぞ。
posted by 小澤和也 at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年01月15日

ステージリハーサル

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三菱電機SWOとのステージリハーサル@鎌倉芸術館。

演奏会を二週間後に控えたこのタイミングで、ホールトーンの豊かな実際の公演会場で音を聴けるのはうれしい。

実に広々とした空間。
放たれた音の軌跡が見えるかのようである。

私が指揮する第1部、P.スパークとJ.バーンズでは、一貫してバンドとしての美しいサウンドを目指してきているだけに、ホールの響きが演奏を助けてくれているように感じた。

メインのチャイコフスキー「1812年」はさらにスケール感と力強さ、そしてスタミナが求められる…
メンバーがどこまで頑張れるか、ドキドキしつつ期待することとしよう。

(画像は第2部のリハ風景、指揮は五十嵐さん)
posted by 小澤和也 at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年01月13日

久々のボエーム

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新国立劇場オペラ「ラ・ボエーム」、
バンダの立ち稽古がスタート。
初台の駅を出て楽屋口へ向かう。
入口でバックステージパスを受け取り、劇場の中へ…
あの楽屋まわりの雰囲気が、わけもなく好きである。

まずは衣裳合わせから。
前回と同じデザインなのだが、僕(バンダ隊長)のユニフォームは新調されたみたい…?
生地の感じが少し変わったような。
寸法的にも以前のものより着やすくなって、ありがたい。
最後に写真を撮って、衣裳合わせ終了。

そしていよいよ稽古場へ。
バンダ以外のキャスト・合唱団・助演の皆さんはすでに稽古を重ねていて、そこに我々が合流する形に。
さっそく、バンダ登場のシーンの稽古を何度か繰り返す。
そのうちに、歩幅や歩く速度の感覚を次第に思い出してきた。
最後にはひとまず無難に纏まり、今日の稽古は終了。
あとは、実際のステージでタイミングを掴むことになる。

ボエーム、大好きなオペラだ。
まだ指揮科の学生のとき、初めて裏方として参加したのもこの曲だった。
こうして今回も、この名作の上演に携わることができて…
感激も一入。

19日(木)より、全5公演。
とても美しい演出です。
ぜひお運びください。

posted by 小澤和也 at 00:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年01月10日

一期一会〜ピアノと語りの世界〜

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音楽と言葉の奏でる一つの世界…
俳優・森山太さんの朗読&ピアノの岩崎能子さんのコラボレーションによる「一期一会」公演を聴いた。
(9日、青葉台フィリアホール)

プログラム前半の中では、やはり『幸福の王子』(オスカー・ワイルド作)に感動。
森山さんはすらっとした長身、彫りの深いお顔に加えて艶やかな美声の持ち主。
皮肉と哀愁を秘めたこの名作に、岩崎さんの奏でるグリークの美しい旋律が寄り添う。
物語が幕を閉じた後のエンディングが比較的長く取られ、
(こういった場面では生演奏のバックミュージックがとても効果的だ)
本を閉じ、すっと直立する森山さんに淡く美しい照明が当たる…
あたかも王子の像そのもののようであった。
思わず熱いものがこみ上げてきて目を閉じる。
そして目を開けると、隣席の女性もハンカチで目頭を押さえていた。

後半は、オリジナル語り芝居『ゴッホの独白』。
激しい演技と、心の底から絞り出すような叫びにも似た台詞。
狂気すれすれの境地にまで至った晩年のゴッホの姿…
それが、やや乾いた詩情を帯びたプーランクの音楽と相まって、痛切に観る者の心に食い込んで来る。
圧倒された。


舞台上での森山さんのお姿、とても美しかったなあ…
同じくステージに立つ者として(もちろん私は役者ではないけれど)、大いに考えさせられ、またとても勉強になった。

〜ご盛会おめでとうございます〜
posted by 小澤和也 at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年01月08日

四十年の恋歌

「たとへば君」(河野裕子・永田和宏著)
を読んだ。
ともに歌人であるご夫妻が40年にわたって綴ってきた相聞歌の数々が胸を打つ。

お二人の出会いの頃の歌。

たとへば君
ガサッと落葉すくふやうに
私をさらつて行つてはくれぬか
(河野)

お二人はその後結婚、二人のお子さんをもうけた。
ともに多忙な日々を過ごされる中、河野さんに乳癌が見つかる。

あの時の
壊れたわたしを抱きしめて
あなたは泣いた泣くより無くて
(河野)

ここからお二人の、病との闘いの日々が始まった。

ポケットに
手を引き入れて歩みいつ
嫌なのだ君が先に死ぬなど
(永田)

手術、回復…そして、再発。

一日が
過ぎれば一日減ってゆく君との間
もうすぐ夏至だ
(永田)

わたししか
あなたを包めぬかなしさが
わたしを守りてくれる四十年かけて
(河野)

自宅療養、そして最期の日々。
亡くなる前日のこの歌が絶筆となった。

手をのべて
あなたとあなたに触れたきに
息が足りないこの世の息が

永田さんの挽歌のひとつ。

亡き妻などとだうして言へやう
てのひらが覚えているよきみのてのひら

河野さんの64歳での早過ぎる死はとても惜しまれるが…
それにしても、
なんと素敵なご夫婦の姿であろうか。
お互いを想う、深い愛情に溢れたやりとりが美しい。
読み終えてしばらく、涙が止まらなかった。
posted by 小澤和也 at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年01月05日

オペラが生まれる瞬間

2012年の仕事始めは、
立川Turandotのキャスト立ち稽古。
今日はその初回。
あたかも、何も描かれていない真っさらなカンバスに最初の絵筆を置く瞬間のような、
そんなひとときであった。

演出・中村先生によるテキスト&ト書きの深い読み。
声はもちろん、顔の表情から指先の動き、眼光までを駆使してそれに応えようとするキャストの皆さん。
そこにプッチーニの妖艶な音楽が絡んで、オペラという形式による究極の美が描かれようとしている。
集中して指揮をしつつも、ついついこの「新しいものが生まれる瞬間」を客観的に眺めてしまい、ハッと我に返ることもしばしば。

プッチーニのオペラは実に奥が深い。
これから、演技とともに音楽も、
もっともっと磨いてゆかねば…
posted by 小澤和也 at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年01月03日

演奏会のお知らせ

今月末、ブラスの定期演奏会に出演します。
SWOとは今回で9回目の共演。
演奏会は二部構成、私は第一部に登場し、「1812年」など3曲を指揮します。

§三菱電機ソシオテック・ウィンドオーケストラ
 第19回定期演奏会
日時…2012年1月28日(土) 14時開演
会場…鎌倉芸術館大ホール 入場無料
曲目…チャイコフスキー/大序曲「1812年」 他
出演…小澤和也、五十嵐史生(指揮)

皆さま、ぜひお運びください。

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posted by 小澤和也 at 14:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏会情報

2012年01月01日

新年のごあいさつ

明けましておめでとうございます。

本年も
『善く生きること、
佳い音楽を創ること』
を日々心がけ、精進してまいります。

2012年が皆さまにとって
素晴らしい一年となりますように。
これからも「音楽ノート」をよろしくお願いいたします。

小澤和也
posted by 小澤和也 at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記