2012年04月02日

「キリスト」体験

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ムシカ・ポエティカ公演
リスト/オラトリオ「キリスト」を聴く。
(3/31、新宿文化センター大ホール)

全三部構成、トータル170分余りの長大な作品だ。
第1部は、神の子キリストの誕生から三賢人の訪問までを描く「クリスマス・オラトリオ」。
(全5曲、約65分)
続く第2部は「顕現節ののち」と題され、イエスの山上での説教や湖での奇蹟、エルサレム入城などの場面が描写される。
(全5曲、約50分)
そして、第3部「受難と復活」。
「スターバト・マーテル」(この一章だけで約30分!)を中核として、イエスへの迫害から受難の悲しみ、復活の喜びまでが表現される。
(全4曲、約55分)

全曲を通して管弦楽の存在感が実に大きい。
数による象徴(3=神性、2=人間・現世)や楽器の選択(王=トランペット、羊飼い=木管、など)による象徴表現が随所で巧みに用いられており、テキストがなくとも一つひとつの情景が浮かんでくるようだ。

ソプラノの平松英子さんをはじめとする独唱陣の声は柔らかく、要所要所で美しい彩りを見せていた。
そして…
ハインリヒ・シュッツ合唱団東京を中心とした合唱セクション。
出だしは声の硬さとフラットな音程が気になったが、第2部に入ったあたりからは調子も上がってきて、「スターバト・マーテル」では素晴らしい響きを聴かせてくださった。

派手さやケレン味はほとんど無く、ひたすらに内的充実を追究したこのオラトリオ、もっと聴かれてよい作品だと思う。

単に珍しい作品を聴けたというだけでなく、僕の中での「リスト観」を大きく変えるきっかけにもなったという点で、とても貴重な体験となった。
posted by 小澤和也 at 01:00| Comment(0) | 日記