2012年06月27日

心の洗濯

 
ベルリン国立美術館展を観る。
(@国立西洋美術館)
サブタイトルは
「ルネサンスからロココへ…
ヨーロッパの素描、絵画、彫刻の四世紀」。
 
 
展示は次のように区分されている。
 
1)15世紀:宗教と日常生活
2)15-16世紀:魅惑の肖像画
3)16世紀:マニエリスムの身体
4)17世紀:絵画の黄金時代
5)18世紀:啓蒙の時代へ
6)魅惑のイタリア・ルネサンス素描
 
 
心に残った作品をいくつか。
 
〈マルティン・ルターの肖像〉
(L.クラーナハ(父)の工房、1533年頃)
この絵をゆったりと眺めながら、(時代は異なるが)ハインリヒ・シュッツや大バッハの質実な音楽が僕の脳内を巡っていた。
 
〈真珠の首飾りの少女〉
(J.フェルメール、1662-5頃)
揺るぎないデッサン感覚。
少女の素朴な表情がいい。
そして…
部屋に射し込む光のなんという柔らかさ!
 
〈果物、花、ワイングラスのある静物〉
(J.D.デ・ヘーム、1651年)
作品の前に立ち、はっと息をのむ。
造形美、色彩美の極致。
当然ながら、実物はこの画像の何百倍も鮮やか。
 
 
展示を見終えて…
心のエンジンをオーバーホールしたような、すっきりとした気分に。
 
 
ひたすらに「美」を追究する姿勢、
そして作品を通して「何か」を訴えかけんとする衝動。
人間の持つこれらの欲求は、時代を超えて常に不変であるのだな…
と改めて実感。
 
posted by 小澤和也 at 22:45| Comment(0) | 日記

2012年06月26日

古典について、個性について


先日亡くなった吉田秀和さんの著作、「主題と変奏」を改めて読む。
その第1章「ロベルト・シューマン」の中に、僕の心に深く響く言葉があった。
以下、自由に引用させていただく。


『よい音楽は、きき手のすききらいなどにびくともしない、たしかな美をもっている。』

『一流の古典家たちは、独創性というものを、近代人のように気にしていなかった。
…バッハはますますポリフォニーの世界に沈潜し、ベートーヴェンはソナタ形式を固執した。』

『自然のどこかに本当の創造の国へゆく道がかくされている。
そうして一流の古典にはその秘密がもっとも純粋にもっとも豊かに含まれている。
これを手本にその秘奥を追求しているうちに、いつかその仕事には追求する者の影が宿されてゆく。
個性とは元来そうしたものだ。』


古典とは、そして個性とは何か…
これらを考えるうえで重要なヒントを与えてくれる文章である。

僕も、日々音楽に向き合うひとりの人間として、これらの言葉をしっかりと胸に刻みつけたいと思う。

たしかな美、
本当の創造の国への道を求めて…
古典から学ぶのだ。
posted by 小澤和也 at 09:49| Comment(0) | 日記

2012年06月24日

ステージリハーサル

夕刻より、東京農工大学グリークラブのステージリハーサルへ。
今回の会場はは幸運なことに、本番で使う府中の森芸術劇場ウィーンホール。
この空間はほんとうに響きが美しい。
 
 
ずっと口を酸っぱくして言い続けた「良い発声」への意識づけだったが…
今日ここで歌ってみて、メンバーは皆納得したようである。
 
男声、決して大人数ではないが、豊かな残響にも支えられてのびのびと歌っていた。
女声は10人編成。
響きの純度と音色で聴かせる歌を目指したい。
 
そして、
混声アンサンブルによるパレストリーナ/ミサ・ブレヴィス。
このホールで是非とも歌いたかった作品だ。
正直なところ、かなり「背伸び」をした選曲だけれど…
 
演奏会まであと一週間。
 
 
§東京農工大学グリークラブ
第32回演奏会
 
2012年7月1日(日) 15時開演
府中の森芸術劇場ウィーンホール
(入場無料)
 
指揮:小澤和也/立石健太郎(学生)
 
posted by 小澤和也 at 23:58| Comment(0) | 日記

2012年06月23日

教え子達のアウトプット

専修大学フィルハーモニー管弦楽団のサマーコンサートを聴く。
(22日、@多摩市民館)
 
 
オーケストラはマエストロの棒によく反応していた。
人数の増減による各パート個別の事情はあるにせよ、「一つの合奏体」としての実力はここ数年、確実に上がってきていると思う。
合奏トレーナーとして、これは素直に喜びたい。
 
専フィルのみんな、お疲れさま。
そして、おめでとう!
後期も真剣に、たのしく音楽しよう。
 
 
posted by 小澤和也 at 11:27| Comment(0) | 日記

2012年06月19日

スコアから見えてくる「顔」


おととい〜昨日にかけて、いろいろな作曲家たちの作品をオーケストラとの稽古で取り上げた。

ボロディン、メンデルスゾーン、シベリウス、そしてベートーヴェン。

国や時代が異なるのだから当然なのだけれど、スコア(総譜)から見えてくる景色のようなものが実に様々である。
人間ひとりひとりが、それぞれ皆違った顔つきをしているように…

単純明快にして、各楽器の響きが鮮やかに浮き立つよう書かれたボロディンのスコアリング。
まろやかなサウンドで纏めつつ、細かい音の動きはピアノ曲の伴奏音型をそのまま移し替えたようなメンデルスゾーン。

シベリウスの管弦楽法も独特だ。
ひとことで言えば「シブい」。
特に中期以降の作品では、短い段落が複雑に重ねられ…
またその合わさり方がグラデーションのように、「敢えて」タイミングをずらすかの如く展開される。

ベートーヴェン。
微妙な楽器の出し入れ、それらの音域による特性までを活かした、剛毅にして繊細なオーケストレイション。
当時の限られた楽器編成、和声感覚の中でかくも豊かなサウンドが実現されている!

作曲家それぞれに、こういった「顔」があるのだと思う。
裏を返せば、
「顔」の見える作曲家こそ「大作曲家」である…
と言えるのではないかしら。
posted by 小澤和也 at 00:08| Comment(0) | 日記

2012年06月15日

嬉しい時間

プレトニョフ指揮/ロシア・ナショナル管弦楽団の来日公演を聴く。
(@東京オペラシティ)
 
 
演目は
・グラズノフ/組曲「中世より」
・ベートーヴェン/ロマンス第2番
・チャイコフスキー/憂鬱なセレナーデ、ワルツスケルツォ&懐かしい土地の思い出〜メロディ
(Vn:樫本大進)
・チャイコフスキー/白鳥の湖(プレトニョフ構成)
 
座席は1階2列…やはり近い!
 
 
ここならバスがガンガン聴ける…
と思ったら、対向配置だった。
(でも、そのおかげで2nd Vnをつぶさに観察できた)
 
管打楽器の山台がなくてちょっとビックリ。
もっと驚いたのが…
コンサートマスターの椅子。
 
 
なぜか、並椅子の三段重ね!
(まさかピアノ椅子が足りなかったワケではあるまいが…)
 
グラズノフのこの曲、
初めて聴いたのだがなかなか佳い作品。
前奏曲〜スケルツォ〜吟遊詩人のセレナーデ〜フィナーレ、十字軍騎士の4曲からなる。
オーケストラの扱いの上手さはさすがリムスキーの後継…といった感じ。
 
樫本大進さんのヴァイオリン、凄まじい求心力!
テクニックの披瀝はいうまでもなく、真に彼の中にある豊かな「音楽そのもの」が迸り出ていた。
はじめにプログラムを見た時は、
(コンチェルトじゃないのか…)
と正直なところ思ったのだけれど、今日の4曲で十分過ぎるほど堪能した。
 
前半だけでゆうに1時間を超える充実の内容。
 
休憩後は、マエストロ自身がバレエ全曲版からセレクトした「白鳥の湖」全12曲。
(この曲は暗譜で指揮していた)
有名な組曲に含まれるナンバーがあまり含まれておらず、5曲目にようやく例の「情景」のオーボエが流れると、客席も何やらホッとしたような雰囲気に。
これはこれで楽しめる。
 
プレトニョフの指揮も今回初めて見ることができた。
スマートなバトンとは言えないが、実に的確かつ音楽的。
(もっとアクの強い音楽を何となく想像していたのだけれど…やはり「百聞は一見に如かず」である)
オーケストラは、完全にプレトニョフの「手兵」たるスーパースター集団だ。
 
アンコールは「眠れる森の美女」〜ワルツ。
Vnの譜面台の上に「アルルの女」らしきパート譜が乗っていたので、
(せっかくいいチャイコフスキーを聴いたのに「ファランドール」だったらどうしよう…)
と思ったのだが…取り越し苦労だった。
 
久しぶりに、とても嬉しい気分になれた、そんなコンサートである。
posted by 小澤和也 at 23:16| Comment(0) | 日記

2012年06月11日

「月光とピエロ」

写真.JPG

普段、詩を読むことなどあまりないのだけれど、
この「月光とピエロ」は僕にとって特別だ。
僕の場合、合唱組曲などの音楽作品から入り、それからその詩人・詩作に慣れ親しむというパターンが多い。
(立原道造、草野心平などもそうだった)


堀口大学の第一詩集「月光とピエロ」、
その中の「月光とピエロ」は六編の詩からなっている。

・雪
・月夜
・ピエロ
・秋のピエロ
・月光とピエロとピエレットの唐草模様
・雪の庭
(ピエロが登場しない二編の詩が、いずれも雪に関わるものになっている)


「月夜」「ピエロ」「秋のピエロ」
これらの中に一貫して流れているのは、しっとりと濡れた(恋の)悲しみ、そして泣きながらも笑うしかないピエロの辛さである。
言うまでもなく、ピエロ=大学自身であろう。
以下、自由に引用させていただくと…

月の光の照る辻に
ピエロさびしく立ちにけり。
ピエロの姿白ければ
月の光に濡れにけり。
(月夜)

ピエロは/月の光なり!
白く明るく/見ゆれども
月の光は/さびしかり!
(ピエロ)

身すぎ世すぎの是非もなく
おどけたれどもわがピエロ、
秋はしみじみ身に滲みて
真実なみだを流すなり。
(秋のピエロ)

読み進めるほどに、大学独特の夢幻的な世界へ否応なく引き込まれてゆく。


さて、
「月光とピエロ」に続いて収められている「EX-VOTO」(「捧げ物」とでも訳せるか)の中にも、
「ピエロの嘆き」と題された一編がある。

かなしからずや身はピエロ、
月の孀(やもめ)の父無児(ててなしご)!


話を戻して…
「月光とピエロとピエレットの唐草模様」、
これは少し雰囲気が変わっていて、
月の光に照らされて/ピエロ/ピエレット/踊りけり/歌いけり…
といった言葉が幾何学的文様のように、様々なリズムを与えられて自由に飛び交っている、
そんな感じの詩である。
タイトルのW唐草模様Wのイメージが初めよく掴めなかったのだが、
要するにこれはWアラベスクWこのとなのだと、改めて気付いた。
アラビアン模様の如く華麗に、そして自由に装飾された音楽のような…
ここにあるのは飄々とした、やや乾いた気分、それだけ。


清水脩が1949年に作曲した男声合唱組曲「月光とピエロ」、
7月1日(日)に演奏します。

東京農工大学グリークラブ
第32回演奏会
府中の森芸術劇場ウィーンホール
posted by 小澤和也 at 23:32| Comment(0) | 日記

2012年06月10日

また買ってしまった

写真.JPG
数字パズルが好きである。
特にこれ…
ナンバープレイス。
手元にあるとついつい解いてしまうので、勉強の妨げにはなるわ寝不足にもなるわ…
しばらく封印していたのだが、ついに禁を破ってしまったことに。

タイトルに「超難問」とあるのでこの本を選んだのだけれど、
Q1とQ2はアッサリ解けてしまった。
それでも、頭の中がスッキリして気持ちがいい。
これでまた、しばらく楽しむことにしよう。
posted by 小澤和也 at 23:52| Comment(0) | 日記

2012年06月07日

小金井キャンパスの癒し系

農工大グリークラブのレッスンヘ。
今日は小金井キャンパス。
池のほとりを通りかかると…
 
 
カルガモ親子。
 
 
可愛い…
見ているだけで、癒される…
 
 
おっと、稽古場に行かねば…
 
 
それじゃ、またね!
posted by 小澤和也 at 23:55| Comment(0) | 日記

2012年06月06日

フランデレン語で歌おう!

我がペーテル・ブノワの音源を新たに入手した。
 
 
"De Wereld in!"(世界へ!)
副題:Kindercantate(子どもカンタータ)
 
1878年、ブノワがアントウェルペン音楽学校校長として、フランデレン語(≒オランダ語)による教育に力を注いでいる時期の作品である。
 
届いてすぐに…まず一聴。
予想通り小ぢんまりと可愛らしく、何とも微笑ましい曲想だ。
テキストも極めて教育的・啓蒙的。
純粋に「習い、歌われるための」音楽である、と位置づけてよいのではないか。
一般に好んで聴かれる、あるいは後世に永く伝わってゆくような名作とは異なるものだと思うが、
「ブノワがこの時期にこういう曲を書いた」、
そのことが(少なくとも僕にとっては)大切なのだ。
 
フランデレン語が公用語として認められてゆく途上にあって、このカンタータが子ども達によって元気よく歌われたのだろうな…
などと想像を巡らす。
posted by 小澤和也 at 01:11| Comment(0) | 日記

2012年06月03日

"響き" を創る

東京農工大の府中キャンパスへ。
グリークラブの稽古、今日は女声をじっくりと。
まずは発声のチェックから。

ソプラノ3、メゾソプラノ2、アルト2の少人数ゆえ(本番ではもう少し多いはず)、一人ひとりの声に存在感を求める必要がある。
「合唱であると同時にソロであれ」
…これをずっと言い続けてきた甲斐あってか、少しずつだが基礎が身についてきたか。

7月の演奏会で歌うのは
「アカペラによるイギリスのメロディ」。
当日の会場、ウィーンホール(府中の森芸術劇場)のあの豊かな響きを上手く使いたい。
そしてなおかつ、ホールトーンに飲まれてしまわないような音像を創りたいものだ。

演奏会まであと4週間。
posted by 小澤和也 at 23:58| Comment(0) | 日記

2012年06月02日

次なる目標へGo!

先週の日曜、地域の屋外イベントで無事にステージを勤めあげた合唱団あしべ。
ひと息つく間もなく、さっそく新しい "目標" へ向けてスタートした。

次の本番は10月。
恒例の江戸川区合唱祭への出演である。
今年は、いつかぜひ手掛けたかった林光先生編曲の「日本抒情歌曲集」から、
「かやの木山の」「この道」「待ちぼうけ」をセレクト。
(はからずも…3曲とも "山田耕筰作曲・北原白秋作詞" ということになった)

アレンジが素晴らしい、というのはもちろんあるが、
個人的にもここ最近、日本歌曲への興味が強くなっている。
独特の旋律線、そして美しい日本語との融合に、えも言われぬ味わいを覚えるのだ。

ほぼ毎年、初夏〜秋にかけては本格的なレパートリーにじっくり取り組むというのが、あしべのサイクル。
次なる「晴れの舞台」のために、しばしインプットに励もう。
posted by 小澤和也 at 23:58| Comment(0) | 日記

2012年06月01日

Now Reading

写真.JPG
いまハマっている本。

この情熱、そしてこのユーモア…
いい、すごくイイ!
posted by 小澤和也 at 23:59| Comment(0) | 日記