2012年11月30日

フルトヴェングラーの命日に

 
今日は、僕が最も敬愛する巨匠、
ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの命日。
(1954年没)
 
ここしばらく彼のディスクを手にしていなかったのだが、聴くならばやはりベートーヴェンであろうということで…
少し迷った末に取り出したのは「エロイカ」。
1952年、ウィーンpoとのセッション録音である。
 
 
フルトヴェングラーにとって、ベートーヴェンの音楽はどのような存在だったのか…
当時のヨーロッパ楽壇において、フルトヴェングラーの演奏はどのように聴かれていたのか…
また、指揮者フルトヴェングラーの姿は、オーケストラから見てどのように映っていたのか…
あれこれを思い浮かべながら演奏に浸る。
 
僕が今日、最も強く感じたのは
「ベートーヴェンの音楽に対する忠誠の心」である。
フルトヴェングラーは「ライヴの人」「即興の名手」などと呼ばれるが、あくまでそれはそれ、である。
この録音に聴くフルトヴェングラーは、ベートーヴェンのスコアという絶対的規範からその行間を読んで音にしているのだと思う。
 
現代の我々がフルトヴェングラーを模倣するのは全くナンセンスである。
でも、その方法論を学び知ることは大いに意味のあることではないだろうか。
posted by 小澤和也 at 23:48| Comment(0) | 日記

2012年11月26日

青春かながわ校歌祭

 
 
今年も歌った!
『第7回 青春かながわ校歌祭』
(25日@神奈川芸術劇場)
 
今回は25の同窓会が参加。
各校、自慢の校歌や応援歌などを思い思いに発表する。
現行のそれらばかりでなく、いわゆる「旧校歌」や、統廃合により現在は歌われなくなった校歌を歌い継ぐ、という意義をも持った会である。
 
客席の様子。
 
 
舞台上の雰囲気。
 
 
我が母校も、校歌と応援歌を演奏。
校歌はオリジナルの混声四部合唱、応援歌も混声版である。
(僕はテノールパートを担当)
 
 
校歌の一般的なイメージとはかなり異なるであろう旋律、そして和声感…
これがたまらなく好きなのだ。
 
来年は9/28(土)だそうだ。
また、大勢の仲間と歌いたいな。
posted by 小澤和也 at 17:33| Comment(0) | 日記

2012年11月23日

久しぶりの中国茶

 
 
仕事帰り。
大船の駅前でお店を見つけ、久しぶりにゲット。
 
普洱小沱茶。
(プーアル○○茶…発音不明)
一回分がお椀の型に成形されている。
ころんとしていて、面白い。
 
 
中国茶のことはほとんど何も分からないのだけれど、普洱茶はさっぱりしていて好きである。
 
さっそくこれからいただきます…
 
posted by 小澤和也 at 23:56| Comment(0) | 日記

2012年11月21日

テノールの"響"宴

 
 
藤原歌劇団「テノールの響宴」を聴く。
(20日、渋谷区文化総合センター大和田・さくらホール)
総勢8名の歌手による共演(競演!)。
 
第1部は歌曲、第2部はオペラのアリア…
そして、プログラムにはない第3部はカンツォーネのオンパレード!
これだけ大勢だと、それぞれの個性が際立ち、ただ聴いているだけで楽しくなってしまう。
ベテランのお二人、持木弘さんと永澤三郎さんの歌がやはりさすがの存在感。
 
ピアノの河原忠之さんも素晴らしかった。
「ピアノって…打楽器なんだなぁ」と思わずつぶやく。
それほどに多彩な音色と表情を持った、立体感のある伴奏であった。
 
お馴染みの作品が並ぶ中で、ひときわ
心に残った歌がある。
第1部で角田和弘さんの歌った
「ふたつなき道」(北門笙作詩/白樫栄子作曲)。
プログラムノートによると…
西郷隆盛の辞世の句「ふたつなき 道にこの身を 捨小船 波立たばとて 風吹かばとて」からインスピレーションを受けて書かれた詩なのだそうだ。
そして白樫さんは、以前演奏した「ある母親の物語」の作曲家。
暗く深い響き、和風ではあるが情緒に流れない曲想が印象的であった。
もう一度聴いてみたい作品。
 
数々の歌(全部で30曲近く!)を通して、それらを歌うお一人お一人の「姿かたち」が浮き上がって見えたような、そんなひとときであった。
 
 
posted by 小澤和也 at 08:26| Comment(0) | 日記

2012年11月17日

演奏会のごあんない

 
 
近く開催される演奏会のごあんないです。
 
 
§アミューオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」&フランスオペラの饗宴
 
日時…2012年12月15日(土) 午後2時開演
会場…立川市市民会館(アミューたちかわ)大ホール、全席指定
曲目…マスカーニ/「カヴァレリア・ルスティカーナ」(原語上演・簡易字幕付き)他
出演…森山京子(サントゥッツァ)、山田精一(トゥリッドゥ)他
十川稔(演出)、古谷誠一(指揮)、小澤和也(合唱指揮)
 
 
§三菱電機ソシオテックウィンドオーケストラ 第20回定期演奏会
 
日時…2013年1月27日(日) 午後2時開演
会場…鎌倉芸術館大ホール、全席自由、入場無料
曲目…ムソルグスキー/「展覧会の絵」他
出演…小澤和也(指揮)他
 
 
皆さま、どうぞお運びください。
 
 
posted by 小澤和也 at 22:34| Comment(0) | 演奏会情報

2012年11月13日

休息日

 
ちょっぴり疲れたので…
今日は休息日。
仕事関連のスコアを一切開かずに過ごす。
インプットもアウトプットも無し。
(たまには良かろう)
 
 
朝一番で聴いた音楽がこれ。
 
 
アレグリ「ミゼレーレ」、パレストリーナ「教皇マルチェルスのミサ」他
(タリス・スコラーズ)
 
純度の高いハーモニー、そして緩やかな時の流れ。
柔らかな陽射しを全身で浴びているような、穏やかな気分。
 
 
午後。
少し元気が出てきて、ベートーヴェンを聴きたくなった。
 
 
ヴァイオリン協奏曲ニ長調
(オイストラフvn/クリュイタンスcond)
 
充実期の、幸福感に満ちあふれたベートーヴェンをじっくりと味わう。
手練手管のない、真っ直ぐなオイストラフのソロが清々しい。
 
 
そして、いま聴いているのが…
ヴァルヒャの弾くバッハ。
 
 
前奏曲とフーガ変ホ長調BWV552
トリオ・ソナタニ短調BWV527
シュープラー・コラール集 他
 
リラックスしつつも、すっと居住まいを正したくなるヴァルヒャのオルガン。
…よし、明日からまたがんばろう。
 
 
今日も、音楽の力に、感謝。
posted by 小澤和也 at 23:58| Comment(0) | 日記

2012年11月10日

モンジャーニ

 
 
立川市民オペラでご一緒している宮崎京子さん(ソプラノ)の主催する演奏会、
「第19回 モンジャーニ〜宮崎京子と陽気な仲間達〜オータムコンサート」
を聴く。
(9日、@三鷹市芸術文化センター 風のホール)
 
 
「モンジャーニ」というのは宮崎さんによる造語で、『もんじゃ焼きのように色々な食材が入った音楽を届けたい』という思いから名付けられたそうである。
 
今回の共演者は、清水新さん(ピアノ)、越智久美子さん(ヴァイオリン)、高麗正史さん(チェロ)。
歌を中心に、ピアノ独奏やチェロ独奏、ピアノ三重奏など様々な組み合わせで美しいメロディを聴かせてくださった。
 
宮崎さんの歌は、「椿姫」のアリアからイタリア古典歌曲、カンツォーネ、日本歌曲と実に多彩。
特にプログラム後半、「平城山」「丹沢の」「霧と話した」あたりから、僕の心がグイグイと引きこまれてゆくのを感じた。
 
ピアノ、ヴァイオリン&チェロによる「ロンドンデリーの歌」もよかった。
名ヴァイオリニスト、クライスラーによる美しい編曲…これは知らなかった!
 
フィナーレではメンバー全員が揃い、宮崎さんのおしゃべりを挟みつつ「やまがた賛歌(我がふるさと)」「見上げてごらん夜の星を」「ふるさと」が演奏された。
客席(宮崎京子ファンの常連さんでいっぱい!)も大盛り上がり。
あたたかい拍手がいつまでも続く…
 
そして終演。
あとに残ったのは…
ひとことで言えば「柔らかな感動」。
 
この気持ちはどこから来たのだろう?
出演者が知り合いだからか?
〜いや、そんなことではない。
選曲が良かった?
〜うん、それはあるだろう…
 
駅までの道をゆっくりと歩きながら考える。
そして思った。
答えは単純だった…
「いい音楽を聴いたから」。
 
作品そのものが自ずから持っている美しさが、そのまま心のスクリーンに投影されたような、そんな音楽。
恣意的な表情付けや、技巧のための技巧は慎重に避けられていた。
そこにあったのは…
ただただ美しい詩と、美しい旋律。
 
宮崎さん、そして皆さん、
佳い演奏会をありがとうございました。
 
追記)
清水さんのピアノが素晴らしかった。
すべての歌の伴奏、そしてソロで弾いたショパンのノクターン(ホ短調op.72-1)も…
特に、彼の奏でるバス(左手)の、豊かな表情と存在感!
僕が今日受けた感動の一部分は、この低音にあるかもしれない。
 
(会場の雰囲気だけでも…)
posted by 小澤和也 at 00:57| Comment(0) | 日記

2012年11月08日

「カヴァレリア」第2ラウンド

 
立川市民オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」、
今日は合唱の立ち稽古。
 
一通りの演技も付いて、これからひたすら動きのクオリティを上げてゆくこの時期。
演出の戸川先生もそこは当然お考えでいらしたようで、稽古前にメンバー全員に対して「これからやるべきこと」について念入りにお話しくださった。
 
舞台上での「相手との距離感」について(合唱団が演ずるのはシチリアの農民達)、
 
握手・ハグ・ワインを注ぐ…など、全ての動作ひとつひとつに充分な時間をかけること、
 
祈りの場面ではただ漠然とひざまずくのではなく、「具体的な絵や像に向かって祈っている姿」を表現すること(カトリック世界の描写)、
 
すべての動きに必然性をおくこと、「偶然そこに立っている」ではダメ etc.
 
団員の皆さんの表情がぐっと引き締まる。
 
今日はあまり出番のないソリストの方々もご参加くださり、充実した稽古になった。
(森山さん、齋藤さん、山田さん、ありがとうございました)
 
ただ、肝心の「歌」が…
かなり粗が目立ってきている。
近々、態勢を立て直さないとな。
 
合唱団の皆さん、お疲れさまでした。
来週からもがんばりましょう!
posted by 小澤和也 at 23:59| Comment(0) | 日記

2012年11月06日

オペラに向ける「視点」の広がり

 
R.シュトラウス「サロメ」についての公開研究会を聴講する。
(中央大学人文科学研究所主催、11月3日@神田駿河台)
 
テーマは
『音楽がすべて語ってくれる〜シュトラウス《サロメ》のライトモティーフ序論』、
お話をお聞かせくださったのは、音楽学者・評論家の広瀬大介さん。
(実は以前よりTwitter上でお知り合いであった)
 
シュトラウスが用いたライトモティーフ(示導動機)の単なる紹介にとどまらず、ヴァーグナーのそれとの違いについて、さらには「サロメ」のオペラ化に際し原作(オスカー・ワイルドの戯曲)をどのように削り、そこにどのような音楽を充てたかなど、興味深いお話を伺うことができた。
 
また、シュトラウスのライトモティーフを古今の演出家達がどのように「読んだ」かを、いくつもの映像でご紹介くださった。
これも大いに勉強になった。
 
そして何よりも、
日頃より音楽作品を「学術」という角度から見つめていらっしゃる方々の「視点」「語り口」というものに接することができた…
そのことが、この日の最大の収穫だったかもしれない。
 
これらの他にも、オペラ字幕についての苦労話(広瀬さんは先般のウィーン国立歌劇場公演「サロメ」の字幕を担当された)や、シュトラウスが用いた調性と想念について(変ホ長調=英雄、ホ長調=エロス、etc.)など、話題は尽きることなく続いた…
 
オペラに対する「視界の広がり」をびんびんと感じ取ることのできた、刺激的な一日であった。
広瀬さん、そしてこの会をコーディネイトされた中央大学の森岡実穂さん、ありがとうございます。
posted by 小澤和也 at 23:57| Comment(0) | 日記

2012年11月05日

初顔合わせ

 
我孫子市民フィルとの合奏稽古へ。
初顔合わせだったのだけど、とても面白かった。
 
曲目は
ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」、プーランク「牝鹿」、そしてビゼー「アルルの女」。
洒落たプログラミングだ。
 
オーケストラの皆さんはよくさらっていらしてて、自発的にどんどん音が出てくる。
それらに対して、
「音色」や音の「形」、さらには軽さや瞬発力…
(普段、いわゆるドイツものに慣れているアマオケには、このあたりが難しい)
様々に言葉を変えて、欲しい音のイメージを伝え続けてゆく。
それが上手く届いたときには、オーケストラのサウンドが一瞬で驚くほど良くなるのだ。
(言葉はその場面に応じて瞬時に選ぶわけだが、これは僕自身にとってもほんとうに勉強になる。)
 
"初めて聴くオケ vs 初めて見る指揮者" としてのスタートだったが、真に「音楽するたのしみ」を感じられるひと時であった。
あっという間の2時間半。
 
来月また伺う予定だ。
今からとても楽しみである。
 
posted by 小澤和也 at 00:26| Comment(0) | 日記

2012年11月03日

万霊節、そしてドイツリートに寄せて

 
昨日11月2日は
「万霊節(Allesseelen)」。
キリスト教で、この世を去ったすべての信徒を記念する日。(広辞苑より)
 
 
R.シュトラウス作曲の同名の美しいリート(フォン・グリム詩、作品10-8)が大好きである。
 
詩の後半、
 
『どの墓にも 花が咲き誇り薫りたつ
一年(ひととせ)に一度 死せる者が解き放たれる日
この心に戻れ いまひとたび あなたとともに
あのときの 五月のように』
(広瀬大介さんの素敵な訳詩による)
 
特にこの部分の音楽は、何度聴いても実に感動的だ。
 
 
いま、バーバラ・ボニーの歌うシュトラウス歌曲集のディスクを小さくかけながら、静かな夜を過ごしている。
 
このシュトラウスやヴォルフ、マーラーなどのリートを味わっていると、何ともいえず涼やかな気分になれる。
 
上手く表せないのだが、ある種の「中和剤」のような。
あるいは、乱れた心の天秤の針をセンターに戻してくれるような。
そして、膨張し歪んだ時間・空間の感覚を、元通りにおさめてくれるような…
そんな力を持っているような気がする。
 
僕が仕事として日々向き合うことの多いジャンルは、交響楽、宗教声楽曲、あるいはオペラ(もっぱらイタリアのそれ)である。
そんな僕にとって、ドイツリートは、
 
@交響楽に対しては
「その器楽的な堅固さ、形式の鋳型からの解放」を、
A宗教声楽曲に対しては
「柔らかな詩情の羽ばたき」を、
そして
Bイタリアオペラに対しては
「無限の陶酔からの爽やかな覚醒」
を感じさせてくれる。
と同時に、僕の疲れた心身を癒してくれるのだ。
 
 
 
posted by 小澤和也 at 00:32| Comment(0) | 日記