2013年04月14日

ペーテル・ブノワの最高傑作

 
 
久しぶりに、我がペーテル・ブノワの新しい音源を手に入れた。
 
タイトルは
"De Oorlog"(戦争)。
『三部からなるオラトリオ、独唱、四重唱、小合唱、二群の大混声合唱、天上の合唱、少年合唱と大管弦楽およびオルガンのための』
 
 
伝記で読んで、またアントウェルペンの音楽学者ヤン・デウィルデさんからフルスコアを戴いて、この作品の存在は以前より知っていた。
ヤンさん曰く「『戦争』こそブノワの最高傑作だと思う」。
 
しかし、実際に耳にするチャンスはなかなか訪れなかった。
それもそのはず、演奏される機会そのものが極めて少ないらしい。
その最大の理由は「編成の巨大さ」であろう。
(重唱・合唱だけで、そのパート(声部)の数は20以上)
加えて、テキストがフラマン語で書かれているため、自国以外での演奏の機会がまず期待できないということも大きな要因である。
 
演奏を聴いた印象は…
「とにかくデカい!」
長さは90分ほどであるから、オラトリオとしては標準的なものだと思うが、その中に実に多くのものが詰め込まれているのだ。
 
春の到来を喜ぶ素朴な情景描写。
一転して、戦争への恐怖や勝者の歓喜、敗者の哀愁をそのまま音化した表現主義的な部分。
(この曲は普仏戦争が作曲の動機となっている)
さらには、瀕死の若い兵士とその母親(の幻影)との対話を描いた情緒的な場面も。
そして「暗闇の精」「嘲笑の精」といった、人間の心理の暗部を擬人化したような独唱パートの不気味な存在が作品の全編を貫いている。
 
ヤンさんの言葉を信じて、これからこの「傑作」の細部をよく聴き込んでいこうと思う。
 
 
posted by 小澤和也 at 12:57| Comment(0) | 日記