2014年01月28日

演奏会のごあんない

 
昨夏、親子コンサートでご一緒した港北区民交響楽団と再び共演します。
 
ロマンティストで感情の起伏の激しかったシューマンの遺した、最も人間くさい作品のひとつといって良いであろう交響曲第2番。
そして弱冠17歳、ビゼーがパリ音楽院の学生だった頃に書かれた、若さと才気に溢れた交響曲。
今回は、これら2曲の「ハ長調交響曲」を演奏いたします。
 
 
§港北区民交響楽団 第54回定期演奏会
 
日時…2014年5月18日(日)14時(予定)開演
会場…港北公会堂
曲目…シューマン/交響曲第2番ハ長調、ビゼー/交響曲ハ長調、ブラームス/大学祝典序曲
出演…港北区民交響楽団、小澤和也(指揮)


 
みなさま、どうぞお運びください。

posted by 小澤和也 at 18:44| Comment(0) | 演奏会情報

2014年01月25日

「フルトヴェングラーの第九」考

 
1月25日。
ドイツの大指揮者フルトヴェングラーの誕生日(1886年生)に際し、久しぶりにじっくりと彼のディスクを聴く。
 
取り出したのはこれ。
§ベートーヴェン/交響曲第9番
1954.8.22. ルツェルン音楽祭でのライヴ
 
亡くなる3ヶ月前の録音である。
…ということで、とかく『最晩年の淡々とした境地』『衰えからくる弛緩』『枯れた演奏』などと強調されることが多いのだが、僕は必ずしもそうは思わない。
 
第1楽章冒頭こそやや手探りの出だしにも聞こえるが、ほどなくして堂々たるベートーヴェンが姿を現す。
オーケストラはフィルハーモニア管(ロンドン)だが、マエストロの意向に沿った重心の低いサウンドを奏でていると思う。
 
参考までに、これまた名演との誉れ高い1951.7.29.の演奏(いわゆるバイロイトの第九)との演奏時間の比較をしてみたい。
第1楽章…17'41"(B)/17'45"(L)
第2楽章…11'53"/11'50"
第3楽章…19'28"/19'27"
第4楽章…24'51"/25'06"
合計……  73'53"/74'08"
第4楽章以外では両者にほとんど差がないことがわかる。
 
ライヴのフルトヴェングラーといえば、テンポの大きな揺れがトレードマークのように語られるが、この演奏ではそれが慎重に制御されている。
「遅くする」方への変化はこれまで通りなのだが、いわゆるアッチェレランドは実に客観的・理知的なのだ。
これは僕の勝手な想像だが…
もしもフルトヴェングラーがセッション録音でこの交響曲を遺していたならば、この「ルツェルンの第九」のような演奏になったのではないだろうか。
 
第2楽章スケルツォの激しい推進力(それでいて抜群の安定感!)、
そして第3楽章アダージョでは限りない安らぎと張り詰めた集中力との奇跡的な共存が見事である。
 
「ルツェルンの第九」は何といっても録音が良い。
(僕が聴いているのは仏Tahra盤である)
音がいいから、想像で補う必要がない。
だから楽に聴ける。
その恩恵を最も感じ取れるのが第4楽章だ。
冒頭の低弦によるレチタティーヴォ、「歓喜の主題」のピアニッシモ、そして鮮明なコーラス…
すべてが美しい。
あとはもう、どこまでがフルトヴェングラーでどこからがベートーヴェンなのか、そんなことがどうでもよくなるような感動的な音楽だけが流れてゆく。
 
ほとんど考えると同時に書いていたので、脈略のない文章になってしまった。
レトルトカレーの昔のCMではないが、
「バイロイトもいいけどルツェルンもね!」
と言いたかったワケである。
ここに書けなかったことも含め、敬愛するフルトヴェングラーの音楽について考えるよい時間となった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 23:36| Comment(2) | 日記

2014年01月21日

マエストロ・アバド、安らかに

 
イタリアのマエストロ、クラウディオ・アバドが亡くなった。
享年80歳。
 
ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場などのオペラハウス、さらにロンドン響やベルリンpoといった数々の名門オケのポストに就いた彼の輝かしいキャリアについては周知の通りである。
 
正直に告白してしまうと、僕はアバドの演奏のよき聴き手ではなかった。
彼の充実期に録られたモーツァルトやベートーヴェン、ブラームス等に、僕は今ひとつのめり込めなかったのである。
(これが僕の好みと感性の問題であることはいうまでもない)
 
そんな思いもあって、結局彼の実演に触れる機会はなかった…いま考えると痛恨事であるが。
それに近い体験といえば、2011年8月に東京国際フォーラムで観たライヴ・ビューイングくらいであろうか。
「東日本への贈りもの」と題された特別演奏会のようなものだったと記憶する。
そこでアバドはルツェルン祝祭管とともに、マーラーの第10交響曲〜第1楽章を演奏した。
優しく愛撫するような、たおやかなアダージョであった。
 
そんな僕の乏しいアバド体験の中で、思い出に残るディスクは…
マーラー/第4交響曲(ウィーンpo)
ベルリオーズ/幻想交響曲(シカゴ響)
ヴェルディ/マクベス&シモン・ボッカネグラ(スカラ座)
ベルク/ヴォツェック(ウィーンpo)
ペルゴレージ/スタバト・マーテル(ロンドン響)
シューベルト/ロザムンデ(ヨーロッパ室内管)etc.
 
アバドは何といっても「カンタービレ」のマエストロであった。
楽員、そして世界中のファンに愛され、カラヤン、バーンスタインらの次の時代を飾ったアバド。
(偶然だが、生年も没年もカラヤンの25年後、ということになった!)
病を克服してからのより深みを増した音楽には鬼気迫るものがあった。
 
 
マエストロ・アバド、R.I.P.
 
 
posted by 小澤和也 at 23:49| Comment(0) | 日記

2014年01月17日

拙訳 ラシーヌの雅歌

 
フォーレ作曲、
"Cantique de Jean Racine"。
(ラシーヌの雅歌)
 
思うところあり、ここに訳詞を試みる。
心より愛するこの小品に寄せて。
 
その精神世界に
少しでも近づいてゆけるよう。
 
 
§  ラシーヌの雅歌
 
み言葉よ  あまねく照らす
天地(あめつち)  永遠の望み
夜の静寂(しじま)  我らの声に
眼差し  注ぎたまえ
 
恵みの  焔まき放ちて
苦しみ  み声もて消したまえ
わが微睡(まどろみ)  取り去りたまえ
み心  違えぬよう
 
おお  クリスト  今ここに  主を寿ぎて
集いし  まことの民
永久(とこしえ)なる  栄えを称う
褒めうた  聞きたまえ
 
み前に  捧ぐしらべ
 
 
posted by 小澤和也 at 23:37| Comment(0) | 日記

2014年01月11日

地元飲み

 
今日はオフ。
地元の図書館で調べものなどしたあと、以前からちょっと気になっていたベルギービールの飲めるお店へ。
 
 
まずは定番CHIMAYから。
レッドをオーダーしたのだけれど、マスターが一緒に持ってきてくださった「ゴールド」に目が留まる。
赤・青・白は知っていたが金は初体験。
度数4.8%と軽め…
一杯目にはいいかも。
 
客は僕一人。
気さくなマスターと延々お喋り。
世界各地のビールとウィスキーに精通していらっしゃる方のようだった。
 
 
続いてDuvel。
これも見たことのない「トリプル・ホップ」。
せっかくなのでいただいてみる。
苦くて美味しい。
 
今度は仕事帰りに寄ってみようか。
 
 
posted by 小澤和也 at 22:00| Comment(0) | 日記

2014年01月09日

Aida稽古始め

 
 
立川市民オペラ合唱団、
2014年の稽古始め。
年末年始のお休みが功を奏したか、歌も演技もよい具合に「練られて」きているようだ。
 
 
来週からは助演の皆さんも稽古に加わる。
気付けば、公演まであと60日あまり。
公演そのものももちろん楽しみだけれど、そこに至るまでの過程、全員の「創る意欲」を大切にしたいと感じている。
 
 
ヴェルディ『アイーダ』全4幕、
3月15&16日@立川RISURUホールにて。
みなさま、ぜひお運びくださいませ。
 
 
posted by 小澤和也 at 23:52| Comment(0) | 日記

2014年01月08日

伝記 ペーテル・ブノワ(8)

 
§第4章
[ペーテル・ブノワ、"ローマ大賞" を獲得する]
 
ブノワが "佳作賞" を得たのと同じ頃、ベルギーでは初代国王レオポルト1世の在位25周年が祝われた。
フラームス劇場の支配人カッツはこの慶事に際し、レオポルト1世の治世を賛美した2幕4場からなる戯曲を書く…その作品は『ベルギー国民』と名付けられた。
ブノワはこの台本に音楽を付け、『ベルギー国民』はブリュッセルで、大きな称賛とともに上演される。
また、王族がこの機会にフラームス劇場を訪れ、支配人は後にこの劇場への援助として王室から寄付金を受け取ったのだった。
 
勤勉なブノワはさらに同年、フラマン語によるジングシュピール『山並みの町』を完成させる。
台本は、ドイツの劇作家コツェビューの作品を素材としたもので、同じくカッツによって書かれた。
1856年12月にこの新しいジングシュピールはさっそく上演される。
 
オランダ語のテキストによるジングシュピールは、当時としては珍しいものであった。
そして、人々がブノワのこの試みを "大胆で向こう見ずな挑戦" と考えたことも、またこの "向こう見ずな挑戦" が全面的な賞賛を得たことに人々が驚いたのも、何ら不思議ではない。
 
【小澤注:当時のベルギーは(フランデレン地域においても)フランス語を用いる少数のエリートの支配が優位を占めていた】
 
ブノワは持ち前の真剣さと粘り強さをもって、改めて "ローマ大賞" のための準備を行った。
彼はこのコンテストに二度応募している。
一度目は1855年、既に述べたように "佳作賞" を受賞した。
これは、彼の作品が審査員によって好意的に受け止められたということを意味する。
参加者は『ヘラクレスの最期』と題されたテキストに作曲した。
一等賞はP.デ・モルに与えられた…二等は該当者無しであった。
1857年、ブノワは二度目の応募をする。
そして、カンタータ『アベルの死』で見事に一等賞を獲得したのだった。
それは当然の勝利であり、この青年にさらに努力をしてゆくための強い勇気を与えるものであった。
 
【小澤注:『ヘラクレス〜』『アベル〜』ともに台本はフランス語によるものであったことを付記しておきたい】
 
(第4章  完)
 
posted by 小澤和也 at 22:38| Comment(0) | 音楽雑記帳

2014年01月06日

仕事始め

 
穏やかな、それでいて充実した年の始めであった。
初詣、久しぶりの里帰り、そして新年会…
 
帰省先でも鉛筆を片手にスコアを広げ、ゆったりと "書き初め"。
そして昨日は友人宅を訪ねたあと、急遽頼まれたプローべへと出掛け、これが今年の "振り" 始めとなった。
 
スムーズに、何かこう「フワリと」立ち上がった2014年。
佳い年になりそうだ。
今年も…音楽とともに、そして音楽のために生きる。
 
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 08:27| Comment(0) | 日記

2014年01月01日

ごあいさつ

 
 
新年明けましておめでとうございます。
 
今年は午年、そして年男。
『駆ける』一年を目指します。
 
2014年が皆さまにとって素晴らしい一年となりますように。
 
これからも「音楽ノート」をよろしくお願いいたします。
 
 
小澤和也
 
 
posted by 小澤和也 at 20:56| Comment(0) | 日記