2014年12月24日

チャイコフスキー第3交響曲 考

 
つい先日、チャイコフスキーについて、また今回の演奏曲目である彼の第3交響曲について、来月客演する港北区民響の広報ご担当の団員さんとやり取りをした。
あらかじめ幾つかの質問を頂いており、それにアンケートのような形で答えるというものである。
その時の回答に加えて、いま僕の頭の中にあるものをつらつらと書いてみようと思う。
 
 
Q1
チャイコフスキーに対してどのような印象をお持ちですか?
 
《内気な天才。
なのに、
孤独に苦しみ、
自信を持てなかった人。》
 
彼の数奇な生涯、その中で書かれた幾多の名曲について思うとき、実にさまざまなイメージが湧いてくる。
それは彼を取り巻く複雑な人間関係に似て、なかなかピタリと言い当てられる表現が見つからない。
悩みに悩んだ末に浮かんだのが、上の言葉であった。
 
 
Q2
第3交響曲の特徴について、また独自の視点があれば。
 
《チャイコフスキーの交響曲のなかで最も地味な存在の第3番ですが、実は出世作『白鳥の湖』と同じ時期に書かれた作品です。
第1楽章、朗らかな第1主題に続いて奏でられるしっとりとしたオーボエのメロディは、有名な『白鳥の湖〜情景』のテーマと関連があるように思えます。
そして全体に、バレエのシーンが思い浮かびます…
例えば第2楽章は優雅なワルツ、第3楽章は二人の主人公による愛の場面、第4楽章は美しい妖精たちの軽やかな群舞、そしてフィナーレは壮麗な舞踏会…とでもいったような。》
 
チャイコフスキーの(マンフレッドを除く)6つの交響曲の中で唯一の「長調」作品であること、
なぜか5楽章からなっていること(交響曲は通例4楽章形式)、
そして『ポーランド』という多分にピント外れな副題が付いていること etc.
とにかく、一見「ツッコミどころ満載」の曲なのだ。
 
第1、第2交響曲をロシア国民楽派の影響下で作曲したチャイコフスキー。
やがて彼らと距離を置き、自己のスタイルを模索し始めたのが1874年頃だと思われる。
その後の主要作とおおよその作曲年代は次の通り。
 
1874年
第2弦楽四重奏曲
1875年
第1ピアノ協奏曲、ゆううつなセレナード、第3交響曲
1876年
白鳥の湖、組曲「四季」、スラヴ行進曲
 
このように、彼の代表作と呼ぶにふさわしい曲たちと並行して第3交響曲は書かれているのだ。
スコアをじっくりと読み込めば、熟達の技法をもってよく作られているのが分かる。
 
ちなみに副題の『ポーランド』は、のちの時代にとあるイギリスの指揮者がつけたもので、第5楽章がポーランド起源の舞曲「ポロネーズ」のリズムを持っているからということらしい。
当然、チャイコフスキーのあずかり知らぬ所であり、楽曲全体のイメージとはなんら無関係である。
 
 
明けて1月31日、みなとみらいホールにて、港北区民交響楽団の皆さんと第3交響曲を演奏します。
なかなか取り上げられる機会のない作品です。
みなさま、どうぞお運びください。
 
 
posted by 小澤和也 at 23:49| Comment(0) | 日記