2016年05月17日

ペライアの弾く "うたうバッハ"

 
以前にBSで放映された『フランス組曲第4番』を視聴して以来、マレイ・ペライアのバッハ演奏にずっと惹かれている。
作品の造型からタッチ、音色に至るまで、すべてが至福の美しさ。
さらには、その端正なフォルムとまったく相反することなく、曲のすみずみまで歌い抜かれているのだ。
E.フィッシャーの遺した『平均律クラヴィーア曲集』の録音を聴いているときにも感じたこの気分。
やっぱり好きだ、うたうバッハ。
 
 
最近、彼の弾くバッハ『イギリス組曲』のCDを入手、さっそく聴き込んでいる。
 
 
 
...この気持ちは何だろう!
「そこにあると分かっていながらこれまでずっと見えなかったもの」が初めてはっきりと認識できたときのような。
 
その "隙のなさ" ゆえにやや距離を置き、身構えて聴かれることの多いバッハの音楽だが、ペライアはそこにしなやかでさりげないアゴーギクを効かせ、豊かなカンタービレのアーチをかけてゆく。
聴く者を "嬉しい" 気持ちにさせてくれる演奏だと思う。
 
 
音楽プロデューサーの中野雄氏はその著書の中で、ペライアについて次のように述べている。
「鍵盤楽器奏者としてのペライアは、バッハに対して迷うことなく声楽的アプローチを試みている。」
「死語となりつつある「気品」という言葉の真意は、ペライアの演ずる古典に接すれば、一聴理解されるのではないだろうか。」
(「宇野功芳・中野雄・s章恭/新版 クラシックCDの名盤 演奏家編」より)
 
posted by 小澤和也 at 00:16| Comment(0) | 日記