「間近し青空 まさに起つべし〜」 合唱団あしべが目下練習中の歌である。 我々が拠点とする江戸川区松江、この地名の由来は1889(明治22)年の市町村制施行に遡るのだそうだ。 このときに小松川村と西一之江村とが合併して「松江村」が誕生、その後「松江町」となったのが大正15(1926)年4月のことである。 昭和4(1929)年、小岩にゆかりのある北原白秋(一年ほど住んでいたことがあるそうな) に作詞を、そして山田耕筰に作曲を依頼、松江町歌が作られた。 ...そう、「からたちの花」「この道」「ペチカ」など数多くの名曲を生んだゴールデンコンビである。 これは歌ってみたい! 団員Kさんが楽譜を含めた資料を集めてくださった。 1番の詞はこのようなものである。 間近し青空 まさに起つべし 誓って創らむ 理想の自治体 運河は到れり 野に水明れり われらがこの町 人は和したり 輝け 新都市 起てよ松江 松江 松江 わかき松江 (漢字およびかなの表記は現代のものに改めた) 以下3番まで続くのだが、「自給の生活」「蔬菜」「未来の光芒」etc. と、時代の息吹をひしひしと感じる言葉が並ぶ。 対する山田耕筰の音楽はリズム、和声ともに思いの外モダンな香りがする。 そこがまた興味深い。 ところが... 3年後の昭和7(1932)年10月、この松江町歌は歴史の表舞台から姿を消すことになる。 当時の周辺7ヶ町村 (小松川町・松江町・小岩町・鹿本村・篠崎村・瑞江村・葛西村) が合併して江戸川区が誕生したのだ。 あくまで想像だが、松江町歌が歌われる機会はこれによりほぼ無くなったであろう。 いささか蒼然とした歌詞に面食らいつつも、あしべのメンバーは楽しく歌ってくださっている。 どこかで披露する予定があるわけでもないが、"かつてこういう歌があってね..." と心の隅に置いておくだけでも良いかな、と思っている。 もちろん "お座敷" がかかれば、いつでも歌いに参ります! 2016年10月、 江戸川区合唱祭でのワンショット。 |
2016年11月19日
秘曲!"松江町歌"
posted by 小澤和也 at 15:53| Comment(0)
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