埼玉県立近代美術館へ。 『日本におけるキュビスムーピカソ・インパクト』を鑑賞する。 これまでキュビスムやその作品に強く惹かれたことはほとんどなかったのだが、今回の "日本における" という切り口にはなぜかちょっぴり興味を覚えたのである。 萬鐵五郎《もたれて立つ人》 東郷青児《コントラバスを弾く》 今西中通《マンドリンを弾く女》 飯田善國《オーケストラ》 ...ついつい、音楽をモティーフとした絵に目が行ってしまう。 キュビスムを主導したピカソやブラックの作品も展示されていた。 パブロ・ピカソ《静物》 1910-20年代に伝えられるも、日本では深化を遂げるには至らなかったキュビスム。 そして第二次大戦後、国内で開催されたピカソ展が日本の美術界に与えた衝撃... 素人の目には (え?これもキュビスム?) と思えるほど大胆に踏み込んだ展示であり、個人的には頭の中が若干疲れたけれど、その疲れが心地良く感じられる好企画だったと思う。 展示室を出ると... ロダンとブールデルがお出迎え。 収蔵品展 (MOMASコレクション) ではドラクロワやモネ、ユトリロを観ることができた。 キュビスムの後では何と優しく眼に映ることか... 素敵な美術館だった。 春にまた行こう。 |
2017年01月24日
埼玉県立近代美術館
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2017年01月19日
恋の鳥
新潮文庫の北原白秋詩集を読んでいて、『恋の鳥』という詩を見つけた。 捕らへて見ればその手から、 小鳥は空へ飛んで行く、 etc. ん?...これは! カルメンの歌う『ハバネラ』そのものではないか! 調べるとすぐに分かった。 大正8 (1919) 年1月、芸術座が上演した『カルメン』の劇中歌とのこと。 作曲は中山晋平、歌ったのは芸術座の看板女優・松井須磨子である。 神西清氏の巻末解説によれば、「歌劇『カルメン』の英訳本から意訳したものだそう」だ。 七五調の、リズミカルで洒脱な詩になっている。 その他、この本には載っていないが『煙草のめのめ』『酒場の唄』といった劇中歌も書かれているらしい。 オペラの中で女工達が歌う所謂『けむりの歌』、リーリャスパスティアの薄暗い酒場の光景が浮かんでくる。 どんな内容なのだろう...? 恋の鳥 ー『カルメン』の唄よりー (カルメンのうたふ小曲) 捕らへて見ればその手から、 小鳥は空へ飛んで行く、 泣いても泣いても泣ききれぬ、 可愛い、可愛い恋の鳥。 たづねさがせばよう見えず、 気にもかけねばすぐ見えて、 夜も日も知らず、気儘鳥、 来たり、往んだり、風の鳥。 捕らよとすれば飛んで行き、 逃げよとすれば飛びすがり、 好いた惚れたと追つかける、 翼火の鳥、恋の鳥。 若しも、翼を擦りよせて、 離しやせぬとなつたなら、 それこそ、あぶない魔法鳥、 恋ひしおそろし、恋の鳥。 (詩集より引用させていただきました) |
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2017年01月08日
雌伏の日々のモーツァルト ふたたび
いま手掛けているハ長調交響曲K.338 (旧全集:34番) について感じたことを記しておこうと思い、「雌伏の日々のモーツァルト」という見出しを考えついたのだが... なんと三年前 (2014/4/18) に同じタイトルでブログを書いていた。 僕はよほどこの時期 (1779-80年) の作品が好きなようである(苦笑)。 この交響曲、スコアの第1ページには 「1780年8月29日、ザルツブルク」とある。 おそらくは完成の日付であろう。 彼の雇い主であるコロレド大司教の意向で交響曲やミサ曲を「短く」作曲しなければならなかったこの頃のモーツァルト。 遺された最終形としてはメヌエットを欠く3楽章構成であり、ソナタ形式の第1楽章呈示部には通常あるはずの繰り返しの指示がない。 このような状況下においても、モーツァルトの音楽は美しく、決して明るさを失わない。 オーボエ、ファゴット、ホルンに加えてトランペットとティンパニを用いた第1楽章は壮麗な行進曲風の調子で始まり、終始跳びはねるような曲想に溢れている。 同じ楽器編成の第3楽章はこれまた速いテンポの6/8拍子、畳み掛けるような無窮動のフィナーレである。 これらと対照的なのが第2楽章アンダンテ・ディ・モルト (後に作曲者自身の手で "アレグレットに近く" と追記された) だ。 弦五部+ファゴットのみで奏でられる極めてintimateな音楽。 さらにこの楽章を特徴付けているのが、二分割されたヴィオラである。 これによってTuttiの響きが、えも言われぬ陰翳を帯びてくる。 ここからすぐに連想されるのが、三年前の拙ブログでも触れた協奏交響曲変ホ長調 K.364の第2楽章だ。 この時期の彼の心中を表す象徴的な響きであったのだろうか。 |
posted by 小澤和也 at 23:59| Comment(0)
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2017年01月01日
新年のご挨拶
新年明けましておめでとうございます。 2017年がみなさまにとって 素晴らしい一年となりますように。 いま一度原点に立ち返り、力を蓄えつつ音楽と真摯に向き合う一年とする所存です。 本年も「音楽ノート」をよろしくお願いいたします。 2017年 元日 小澤和也 |
posted by 小澤和也 at 19:41| Comment(0)
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