![]() 新潮文庫の北原白秋詩集を読んでいて、『恋の鳥』という詩を見つけた。 捕らへて見ればその手から、 小鳥は空へ飛んで行く、 etc. ん?...これは! カルメンの歌う『ハバネラ』そのものではないか! 調べるとすぐに分かった。 大正8 (1919) 年1月、芸術座が上演した『カルメン』の劇中歌とのこと。 作曲は中山晋平、歌ったのは芸術座の看板女優・松井須磨子である。 神西清氏の巻末解説によれば、「歌劇『カルメン』の英訳本から意訳したものだそう」だ。 七五調の、リズミカルで洒脱な詩になっている。 その他、この本には載っていないが『煙草のめのめ』『酒場の唄』といった劇中歌も書かれているらしい。 オペラの中で女工達が歌う所謂『けむりの歌』、リーリャスパスティアの薄暗い酒場の光景が浮かんでくる。 どんな内容なのだろう...? 恋の鳥 ー『カルメン』の唄よりー (カルメンのうたふ小曲) 捕らへて見ればその手から、 小鳥は空へ飛んで行く、 泣いても泣いても泣ききれぬ、 可愛い、可愛い恋の鳥。 たづねさがせばよう見えず、 気にもかけねばすぐ見えて、 夜も日も知らず、気儘鳥、 来たり、往んだり、風の鳥。 捕らよとすれば飛んで行き、 逃げよとすれば飛びすがり、 好いた惚れたと追つかける、 翼火の鳥、恋の鳥。 若しも、翼を擦りよせて、 離しやせぬとなつたなら、 それこそ、あぶない魔法鳥、 恋ひしおそろし、恋の鳥。 (詩集より引用させていただきました) |
2017年01月19日
恋の鳥
posted by 小澤和也 at 12:35| Comment(0)
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