![]() 先日のプローべは楽しかったな。 男声合唱版『ぜんぶ ここに』。 楽譜に記号として書かれた単なる「音符」の連なりが「表現」へと変貌してゆくプロセスをグリーのメンバーと共有することができた。 (真の完成はまだまだ先だけれど...) スコアとその行間から見えてくるもの、そして歌詩から感じ取ることができるもの... 心の受信感度を最大にして、それらのすべてをメンバーに、そして客席に届けたい。 いま僕の頭の中でずっと鳴り響いている詩がある。 「自分のほんとう」 ほんとうのことは 人生と同じだけの 時間がかかるから 説明できないけれど こうして生きていることは まちがいないので それだけはほんとうです。 誰でも ほんとうのことは 自分しか知りませんでした。 (さくらももこ『まるむし帳』より全文引用させていただきました) この曲集の最後に置かれた「自分のほんとう」。 曲集は2017年に出ている (ちなみに『まるむし帳』の発刊は1991年) から、この歌 (詩) をさくらさんの死去 (2018年8月) と重ね合わせることはまったく意味を持たない。 それでも... 誰でも ほんとうのことは 自分しか知りませんでした。 この三行を読むたび、「“コンプリートされた” さくらさんの人生を言葉にしたもの」のように思えてならないのだ。 (もちろん...53歳での死はあまりに早すぎるけれど) そしてもう一つ。 この詩を終曲として選んだ相澤直人さんのやわらかなセンス! 人気曲「ぜんぶ」(大切なことは/ぜんぶここにある。etc.) の後に「自分のほんとう」をもってくるとは! 相澤さんはさくらさんの訃報を知った日の夜、この歌の混声版を作られている...きっと彼にとっても特別な曲なのだと思う。 演奏会まであとひと月。 考え抜いて、ひたすら感じて、さくらさんの世界を歌いたい。 みなさま、ぜひお運びください。 東京農工大学グリークラブ 第39回演奏会 小金井宮地楽器ホール 大ホール (武蔵小金井駅下車すぐ) 入場無料、全席自由 §相澤直人/さくらももこ 無伴奏男声合唱曲集「ぜんぶ ここに」 §松下耕 女声合唱のための「湖国うた紀行」 他 ![]() |
2019年07月11日
「自分のほんとう」
posted by 小澤和也 at 12:45| Comment(0)
| 日記



