2019年10月08日

コーヒーを買いに

 
根を詰めてデスクに向かっていると時間の経過が早い。
気晴らしを兼ねて、コーヒーを買いに自転車で出かける。
 
 
いつも気さくなマイスターがメキシコ/クルスグランデを淹れてくださった。
ああ...美味しい...
 
 
これまでに何度か買い求め、家で飲んでいるメキシコだが、この風味がどうしても出ないのだ。
 
 
店内のBGMはこの日もバッハ。
お馴染みの旋律が時折流れるのだが、大半は初めて聴く曲だった。
「何をかけていらっしゃるんですか?」
と尋ねると、マイスターはにっこりと笑って
「これです」
 
 
『アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳』だった。
〜こんなにチャーミングな曲集だったのか〜
子供らの教育目的で、また家庭での愉しみのために書かれたものだそうだが、聴いていて実にゆったりとした気分になれる。
 
 
「どうぞ...皮ごとお召し上がりになれます」
マイスターが葡萄を出してくださった。
 
 
鮮やかな黄緑色!
さっそくひと粒頬張る。
甘くて、瑞々しくて、自然と顔がほころんでしまう。
品種名を伺ったのだが...忘れてしまった。
 
 
きょう買い求めたのは上のメキシコと、もう一つ「エチオピア/イルガチェフェ」。
念入りに焙煎され選別された粒ぞろいの豆たち。
マイスターのこだわりが感じられる。
 
 
 
コーヒーとバッハと葡萄と。
ささやかな幸せに溢れたひとときだった。
 
 
さてと...
これを書き終えたらメキシコを淹れるとしよう。
 
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 22:37| Comment(0) | 日記

2019年10月01日

カリンニコフ(6): 悲しき歌

 
 
§ 悲しき歌  Chanson triste
 
作曲: 1892-93年
出版: 1901年、“ピアノのための4つの作品” の第1曲として
 
 
全24小節、2分足らずの可憐な小品。
4分の5拍子という珍しい拍子で書かれているが、終始 <3拍子+2拍子> という一定の周期の中での揺らぎであり、むしろある種の心地良さを感じる。
ギターや歌を好み、ヴァシリーの音楽的才能を目覚めさせた彼の父親に献呈された。
 
 
[第1-8小節]
昔語りのようなト短調の美しい旋律。
自然短音階的に上下行し、その表情は淡く静かな憂いを湛えている。
一方これを支える伴奏のハーモニーは和声的であるため、ところどころハッとするような瞬間が現れる。
(例えば第4小節の4-5拍目、および第8小節1-2拍目など)
 
 
 
[第9-16小節]
メロディの起伏がやや大きくなり、カリンニコフ作品の特徴でもある巧みな和声の運び (変ホ長調→ハ短調→ト長調)ともあいまって音楽は一瞬高まりを見せるが...それも束の間。
主調であるト短調のドミナント (属音) 上に落ち着き、はじめの旋律が回帰する。
 
 
[第17-21小節]
“pp  mezza voce”(ピアニッシモ、半分の声量で) でもって冒頭の旋律が繰り返され、静かに曲を閉じる。
 
 
 
《カリンニコフの交響曲からは彼の病苦の痕跡が全く見られない。ピアノの前でだけ、彼はその胸中を吐露することができたのだった》
《彼のピアノ作品は野に咲く花のようである。シンプルでチャーミング、そしてあれこれと声高に主張することがない》
 
(「ロシア・ピアノ曲集/リャプチコフ」CD解説より自由に引用させていただきました)
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 16:03| Comment(0) | 音楽雑記帳