2022年04月30日
藤村さんの言葉
先日NHKテレビで放送された、藤村美穂子さんの独唱によるマーラー「リュッケルトの詩による5つの歌曲」(広上淳一/京都市交響楽団)。
オンエア後も録画を繰り返し視聴している。
真に素晴らしい演奏だ。
特に「真夜中に」と「私はこの世に忘れられ」の2曲は繰り返し聴くたびに僕の心に深く、やわらかく沁みていく。
演奏終了後。
万雷の拍手を受けられている際の、慈愛に満ちつつもどこか憂いを湛えられた藤村さんの表情も強く印象に残る。
それは2011年4月、震災直後のN響第九を指揮したメータさんの、同じくカーテンコールでの柔和な、しかし神妙なお顔つきを僕に思い起こさせた。
そして......
演奏に先立って流された藤村さんのインタビュー (お話) がさらに強い力で僕の魂を揺さぶるのである。
コロナ禍における自らの苦悩を語る藤村さん。 (この演奏会自体がプログラムの変更を余儀なくされたのだった)
さらに件の隣国によるウクライナ軍事侵攻への痛切な心情を吐露され...
以降の藤村さんの言葉をここに引用させていただく。
私はね......
醜悪なもの、美しくないもの、汚れたもの、そういうものに対する一番の答えは......「美」だと思うんです。
大きい声を上げる方も素晴らしいし、デモンストレーションする方も素晴らしいし......
だけど、私は歌手なので......
音楽という、天才たちが遺してくれた作品を通して、自分が言いたいことを伝えられたらいいなと思っています。
(引用ここまで)
「醜悪に対して美をもってそれに応える」
表現者の端くれとして、僕自身もかくあるべしと改めて思う。
posted by 小澤和也 at 06:47| Comment(0)
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