2022年06月06日
杏仁豆腐とコーヒー、そして…
読みかけの本を持ってぶらりと喫茶店へ。
とろとろ杏仁豆腐と東ティモール/サントモンテをオーダー。
よくよく思い返すとこの組み合わせでいただいた記憶がほとんど無いのだが、運ばれてきた瞬間に
(これはきっと間違いなく美味しい!)
結果は予想どおり。
自家製杏仁豆腐の優しくなめらかな舌触り、そして当然ながらあんずの果実との相性が抜群!
またコーヒーは豆の選別にこだわっている (お店のメニューより) というだけあってすっきりと純度の高い味わい。
淹れたてよりも少し冷ましてからのほうが味の個性が際立っていた...これはあらゆる品種にいえることだと思うが。
この日携えていたのは若松英輔さんの『種まく人』(亜紀書房刊)。
これまでに僕が手にした若松さんの本はたかだか数冊であるが、どの著作にも、そしてそれらの中のどの文章にも丹精の尽くされたやわらかな手触りのようなものを感じる。
”〜家を失い、路上で暮らしていたあの一人の男性は、その姿をもって生きることの困難を体現していた。〜“
(上掲書所収「賢者の生涯」より)
“〜身を切られるような試練にあって聴いた「フルートとハープのための協奏曲」は、あのときの私にしか訪れることのない慰藉の音楽だった。〜“
(同「音楽の慰め」より)
ページを繰りながら目頭にどうしようもなく熱いものを感じ、心を取り繕おうと咄嗟に傍らのスマートフォンで珈琲豆の銘柄を検索したりして気を紛らわせた。
美味しいコーヒーとデザート、そして良書のお蔭で、この日も豊かな時間を過ごすことができたのだった。
posted by 小澤和也 at 15:13| Comment(0)
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