2024年02月02日

ブノワを知る10曲 (1)

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あっという間に一ヶ月が過ぎてしまいましたが、2024年はこれまで以上に我がペーテル・ブノワとその音楽について本ブログで発信していきたいと思っています。


そのためのひとつの試みとして...

(みなさんにこの曲をぜひ知っていただきけたら!と僕が考えているブノワ作品を1曲ずつ、できるだけ簡潔にご紹介していきます。

題して「ブノワを知るための10曲」。


記念すべき()1回は、象徴的な意味をもこめてこの作品を。



アヴェ・マリア op.1

作曲: 1858年、ベルリン

初演: 18589月、ベルリン大聖堂合唱団、 アウグスト・ナイトハルト指揮

出版: Bote&Bock(ベルリン)


ドイツ楽旅へ

1857年、22歳のブノワは新作のカンタータ “Le meurtre d'Abel (アベルの殺害)” によってベルギー・ローマ大賞 (グランプリを受賞しました。彼はその翌年、獲得した奨学金でドイツ諸都市への遊学に赴きます。ドレスデンでは自作の演奏を聴き、ミュンヘンではフランツ・リストと面会しました。

同年夏に訪れたベルリンでは大聖堂合唱団との出会いがありました。その素晴らしさを彼は本国への報告書の中で次のように述べています。「あらゆる巨匠たちの声楽曲、とりわけその黄金期である16世紀作品を演奏する大聖堂合唱団は賞賛に値する。60名の (ボーイソプラノと30名の男声からなる大合唱団は壮大な構想の作品を演奏する (...) ディレクターの厚意により私はすべてのリハーサルに参加することができた。私にとって興味深いセッションばかりだった」


作品

1

この時期に作曲されたのが “アヴェ・マリア” です。「無伴奏二重合唱のための」と添えられたこの作品にブノワは「作品番号1」を与えました。彼はすでにいくつかの歌曲やモテットを出版していましたが、この新作に何かしら期するものがあったのでしょう。

スコアにはそれぞれ「Chœur Solo (ソロ合唱)」、「Chœur Tutti (大合唱)」と書かれた二群の混声四部パートがあります (二重合唱の手法自体は上記 “アベルの殺害” においてすでに用いられていました)。さらに「大合唱」のテノールおよびバスはしばしば各二声に分割され、曲の冒頭はその男声四部合唱のピアニシモ (最弱音によって神秘的に始まります。そしてこの二重合唱のスタイルは後に生まれる傑作 “荘厳ミサ”  “レクイエム” にも受け継がれ、ブノワの言わば「トレードマーク」となりました。

この作品は聖グドゥラ大聖堂 (ブリュッセルの聖歌隊長J. フィッシャーに献呈されました。



【参考音源(CD)】

In Manus Tuas〜フランダースの宗教音楽

(In Flanders’ Fields Vol.50)

エンゲルス指揮、ラトヴィア国立合唱団

Phaedra 92050 (2枚組)

posted by 小澤和也 at 22:48| Comment(0) | 音楽雑記帳