--> 午前8時。 静寂に包まれた法隆寺西院伽藍はえも言われぬ美しさ。 目で、耳で、肌で...すべての感覚を研ぎ澄ませ、遠く飛鳥時代の空気を感じてきました。
posted by 小澤和也 at 10:50| Comment(0)
| 日記
2024年05月08日“An die Freude” に寄せて1824年5月7日、
ケルントナートーア劇場 (ウィーン) にて ベートーヴェン作曲 “シラーの頌歌「歓喜に寄せて」による終結合唱を伴う大交響曲” が初演される。 シラーが「歓喜に寄せて」を書いたのは1785年晩秋のことである (25-26歳)。 その頃の彼はマンハイムでの亡命生活を余儀なくされ、経済的にも行き詰まっていた。 そこに手を差し伸べたのが、以前にシラーへファンレターを送っていたライプツィヒのケルナーとその友人達である。 彼らはシラーの窮状を知るや即座に彼を招き入れ、数年間にわたり生活面・金銭面での援助を惜しまなかった。 こうした温かな友情への感動を『不滅の友愛の記念碑』(内藤克彦氏の著作より)として歌ったのが “An die Freude” である。 1803年の「シラー自選詩集」によれば「歓喜に寄せて」は全8節、96行から構成されている。 各々の節は8行の先唱部分プラス《合唱》と記された4行が続く形をとる。 そしてベートーヴェンが付曲したのは全96行中のうち36行、全体の4割足らず ─ 特に詩の後半部は全く用いられていない ─ なのだ。 (それでもベートーヴェンによるその “4割” の選り抜き方は実に見事だなと個人的には思う) 先日、縁あってシラーの原詩にじっくりと向き合う機会を得た。 以下に拙訳を掲げる。 太字がベートーヴェンによって採用された部分であるが、今回それ以外の60行を改めて知ることができたのは僕にとって大きな喜びであった。 歓喜に寄せて フリードリヒ・シラー 歓喜よ、神々の美しい閃光よ、 天上の楽園から来た乙女よ! 私たちは炎に酔いしれつつ足を踏み入れる、 聖なる者よ、そなたの聖所へ。 そなたの不思議な力は再び結びつける、 時流が厳しく分け隔てたものを、 すべての人間は兄弟となる、 そなたの柔らかな翼の憩うところで。 《 合 唱 》 抱き合おう、何百万の人々よ! この口づけを全世界に! 兄弟よ、 星空の上に 愛する父は住みたもうに違いない。 ひとりの友の友になるという、 大きな成功を勝ち取った者、 一人の優しき妻を得た者は、 喜びの声を互いに合わせよう! そう、この地球上でたった一つの魂でも 自分のものだと呼べる者も (声を合わせよう)! そしてそれを成し得なかった者はひっそりと 泣きながらこの集いから出てゆくがよい! 《 合 唱 》 この大きな環に住む者は 共感を尊べ! それは (私たちを) 星々へと導く、 あの未知なるものの鎮座するところへと。 この世に生くるものはすべて 自然の乳房から歓喜を飲み、 善き者、悪しき者、みな 自然がつくったバラの道をたどる。 歓喜は私たちに口づけとぶどうの枝と、 死の試練を受けた一人の友を授ける、 肉欲は虫けらに与えられ、 智天使ケルビムは神の御前に立つ。 《 合 唱 》 ひざまずくか、何百万の人々よ? 創造主を予感するか、世界よ? 星空の上に主を探し求めよ、 星々の彼方に主は住みたもうに違いない。 歓喜は永遠の自然の中の 力強い発条である。 歓喜が、歓喜こそが回す 大いなる世界時計の歯車を。 それは蕾から花々を、 天空から恒星たちを誘い出し、 それは天球を回す、 先見者の遠眼鏡もまだ見ぬ宇宙の中で。 《 合 唱 》 天空の華麗なる地図の中を 星々が楽しげに翔けゆくように、 兄弟よ、自らの道を進め、 勝利へと向かう英雄のように喜びに満ちて。 真理の炎の鏡の中から 歓喜は探究者へ微笑みかける。 徳の険しい丘の道へと それは耐え忍ぶ者を導く。 信仰の光輝く山々の頂に 歓喜の旗が風にはためくのが見え、 打ち砕かれた棺の裂け目を通して それが天使の合唱の中に立つ (のが見える)。 《 合 唱 》 勇気をもって耐え忍ぶのだ、何百万の人々よ! よりよい世界のために耐え忍ぶのだ! あの星空の上で 大いなる神が報いたもうであろう。 人が神々に返報することはできないが、 神々と等しくあろうとするのは素晴らしいことだ。 悲嘆 (に暮れる者) も貧困 (に喘ぐ者) も手を挙げ、 愉快な者たちとともに楽しもう。 遺恨や復讐は忘れよう、 不倶戴天の敵も赦そう。 涙を彼に強要することのないよう、 悔恨が彼を苛むことのないよう。 《 合 唱 》 罪科の帳簿などは捨ててしまおう! 全世界が和解しよう! 兄弟よ、星空の上で 神が裁くのだ、私たちが裁いたように。 歓喜が杯の中に湧き出る、 黄金の葡萄酒のうちに 残忍な者たちは優しさを飲み、 絶望 (する者たち) は力強い勇気を (飲む)。 兄弟よ、お前たちの席から飛び上がれ、 なみなみと注がれた大杯が巡ってきたときには、 その泡を天に向かって撒き散らそう。 このグラスを善き精霊に! 《 合 唱 》 星々の渦が褒めたたえるもの、 熾天使セラフィムの賛歌が褒めたたえるもの、 このグラスを善き精霊に 星空の上のはるか彼方にある善き精霊に! 重い苦悩にあっては確固たる勇気を、 無実 (の者) の涙するところには救いを、 堅い誓いには永遠を、 友にも敵にも真実を、 王座の前では男子の誇りを ─ 兄弟よ、たとえ財産や生命にかかわろうとも ─ 功績には栄冠を、 偽りの悪党には没落を。 《 合 唱 》 この神聖なる集いをより密に、 黄金の葡萄酒にかけて誓おう。 この誓約に忠実であることを、 星々の審判者にかけて誓おう! (訳: 小澤和也) posted by 小澤和也 at 02:45| Comment(0)
| 日記
2024年05月01日ブノワを知る10曲 (3)
posted by 小澤和也 at 11:24| Comment(0)
| 音楽雑記帳
プロフィール
小澤和也 KazuyaOzawa 1966.8.26生 指揮者 演奏会情報 §ペーテル・ブノワ研究会 発足記念演奏会 PETER BENOIT “HOOGMIS” (荘厳ミサ) 2023年9月23日(土・祝) 15:00開演 ピアノスタジオフィックス立川 (JR立川駅、多摩都市モノレール立川南駅下車) 全席自由: 2500円 曲目: フォーレ: ラシーヌの雅歌 作品11 ブラームス: マリアの歌 作品22 ブノワ: 荘厳ミサ 出演:PBIヴォーカル・アンサンブル ピアノ:冨田優 指揮:小澤和也 §湘南アマデウス合奏団 第53回定期演奏会 (合唱団・合奏団合同 第25回定期演奏会) 2023年10月15日(日) 14:00開演 藤沢市民会館大ホール 全席自由:1000円 <オール・モーツァルト・プログラム> 『ドン・ジョヴァンニ』序曲 K.527 交響曲ニ長調 K.204 ミサ曲ハ長調 K.337 他 指揮: 堀部隆二、小澤和也 出演: 湘南アマデウス合奏団・合唱団 Recent comment
御殿場の空に響いた “An die Freude” by K.ozawa (07/15)
御殿場の空に響いた “An die Freude” by 山ア恵未 (07/13) 御殿場の空に響いた “An die Freude” by 上野由起子 (07/13) 御殿場の空に響いた “An die Freude” by k.ozawa (07/12) 御殿場の空に響いた “An die Freude” by 上野由起子 (07/12) 我が懐かしの「月下の一群」<2> by 浅子 逸男 (07/20) 白秋の『白き花鳥図』〈3〉 by ozawa (02/08) 白秋の『白き花鳥図』〈3〉 by CCL (11/16) Links
合唱団あしべ
東京農工大グリークラブ 専修大学フィルハーモニー管弦楽団 茅ヶ崎交響楽団 NAPPの部屋♪現代音楽と吹奏楽 ピアニスト 藤城敬子 山枡信明の世界 Nobuaki Yamamasu Official Web 宮崎京子オフィシャルWEBサイト 立川市民オペラ合唱団 新国立劇場 パイオニア合唱団 アントワープ王立音楽院 イシュトヴァン・ケルテス協会 mobile
♪小澤和也へのメッセージは こちら
|