2015年05月29日

測量船

 
 
 
 
ここのところ三好達治の詩を読んでいる。
学生時代に合唱曲で親しんだ数篇を除くと、これまで知っていた彼の詩といえば国語の教科書に載っていたこの一節くらいであろうか。
 
『雪』
 
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
 
この有名な詩が収められているのが彼の第一詩集『測量船』であることを知ったのも(恥かしながら)最近のことだ。
収められているのは詩、散文詩、そして短歌とバラエティ豊富。
若き詩人の鋭敏な才能はこの処女作品においてすでに遺憾なく発揮されている。
 
以下、いまの僕の心に響いている詩をいくつか挙げてみる。
(詩はすべて適宜抜粋)
 
 
『甃(いし)のうへ』
 
あはれ花びらながれ
をみなごに花びらながれ
をみなごしめやかに語らひあゆみ
うららかの跫音(あしおと)空にながれ
をりふしに瞳をあげて
翳りなきみ寺の春をすぎゆくなり
etc....
 
柔らかく、かつリズミカルな言葉の運び。
細くたなびく一本の笛の音のようなたおやかさ。
美しい詩である。
 
 
『Enfance finie』
 
海の遠くに島が…、雨に椿の花が堕ちた。鳥籠に春が、春が鳥のゐない鳥籠に。
 
  約束はみんな壊れたね。
 
  海には雲が、ね、空には地球が、映ってゐるね。
 
  空には階段があるね。
etc....
 
過ぎ去りし少年時代の遠い記憶。
若さゆえの苦悩、孤独、そして夢想。
『詩人の恋』終曲の、ピアノによる長い長い後奏を想起させる。
 
 
『郷愁』
 
蝶のやうな私の郷愁!……。蝶はいくつか籬(まがき)を越え、午後の街角に海を見る……。etc....
 
「海、遠い海よ! と私は紙にしたためる。ー海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がゐる。そして母よ、佛蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある。」
 
これも大好きな詩だ。
"母なる海" への無限の憧憬。
蛇足だがフランス語で母はmère、海はmer と綴る。
そして僕の頭の中では『マ・メール・ロワ』〜『妖精の園』が鳴っている。
(言うなればこれも "母なる音楽" か)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 09:23| Comment(0) | 日記
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