2015年09月01日

「シュティムング」体験

 
 
シュトックハウゼンの『シュティムング』を聴く。
(8月29日、サントリーホール・ブルーローズ)
 
シュティムング【Stimmung】とは、辞書によれば
「気分、機嫌」「雰囲気、趣き」「楽器の調律、ピッチ」など様々な意味を持つ言葉である。
当然ながら「声 Stimme」とも関連しているであろう。
副題に「6人のヴォーカリストのための」とあるように、ソプラノ&テノール各2名、アルト、バスの皆さんによって歌われる。
(しかも70分、休憩なし!)
 
6人の歌手はそれぞれ、指定の単音を倍音を豊かに含んだノンヴィヴラートで、様々な母音あるいは音を微妙にかつ緻密に変化させつつ歌い続ける。
場面の転換は、きっかけとなる言葉(作曲家はこれをマジックネームと呼んでいる)あるいは歌手同士で交わす合図によってなされる。
所々で詩 "のようなもの" も語られる。
このようにして、ほぼ途切れることなく刻々と遷移してゆく響きを聴衆は「体験」するのだ。
 
 
(いずれも、公演プログラムに掲載されていたスコアの一部分)
 
 
その響きは儀式風であり、あるいは祈りやおどろおどろしい呪術のようにも感じられた。
その一方で、まだ言葉を持たない乳幼児が発する声(アウアウアウ…、ダーダーダー…etc.)のような、無邪気さや遊びごころを感じさせてくれる瞬間も。
旋律の美しさや物語性を楽しむのとは違い、人間の声そのものの美しさを味わう特異な、しかし貴重な体験であった。
 
日本での上演は45年ぶりだったとのこと。
さて、次回はいつだろうか…
(意外と直ぐだったりして!?)
 
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 00:25| Comment(0) | 日記
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