2016年01月30日

オーレル・ニコレの訃報を聞いて

 
スイスの名フルーティスト、オーレル・ニコレが亡くなった。
享年90歳。
大往生といってよい年齢だが、やはり(ああ、ついにこのときが来てしまったか...)と思わざるを得ない。
 
初めてニコレを知ったのは中学一年、吹奏楽を始めた頃のことである。
それはバッハでもモーツァルトでもなく、なんと武満徹。
部活の先輩がアルバム "Distance" を(やや強引に)貸してくれたのがきっかけだった。
曲は独奏フルートのための『ヴォイス』。
特殊奏法のオンパレードに、当時は何がなんだかまったく理解できなかったことだけは覚えている。
 
それからしばらくののち、FM放送でカール・リヒターのバッハ演奏に出会う。
管弦楽組曲、特に第2&3番をいっぺんで好きになってしまった。
その第2番でフルートソロを吹いていたのがニコレである。
 
大学生時代には彼のリサイタルにも出かけた(はずである)。
小林道夫さんとの共演だったと記憶するが、残念ながら何を聴いたか思い出せない。
 
 
けさ訃報を聞き、真っ先に頭に浮かんだのがこのディスク...大バッハのソナタ集だ。
約30年前、私が購入した2枚目か3枚目のCD。
傑作・ロ短調ソナタBWV1030はもちろんのこと、無伴奏パルティータ同1013、通奏低音付きのホ長調ソナタ同1035が僕のお気に入りである。
 
続いて聴いたのがヴィオラの今井さん、ハープの吉野さんと共演したドビュッシー&武満etc.のアルバム。
録音の美しさとも相俟って、それぞれの奏者の息遣いまでがひしひしと伝わってくる演奏。
 
 
そして...
僕にとっての本命、リヒターとのバッハ第2組曲のディスクをトレイに乗せる。
清楚にして真摯。
 
演奏スタイルとしては旧式なのだろうが、そんなことはどうでもよい。
リヒターの解釈とともに、聴く者に強いメッセージを伝える力をもったバッハ演奏である。
 
 
ご冥福をお祈りいたします。
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 23:59| Comment(0) | 日記
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