2016年02月24日

【中期のシューベルト】双子の兄弟

 
『双子の兄弟』D.647
全1幕からなるジングシュピール
 
作曲:1819年1月完成
台本:ゲオルク・エルンスト・フォン・ホフマン
場面:ライン地方のある村
 
登場人物:
村長(Bass)
その娘リースヒェン(Sop)
アントン(Ten)
二人の負傷兵フランツ&フリードリヒ・シュピース(Bass)
地方官(Bass)
農夫たち(合唱)
 
シューベルト22歳のときの作品。
上演時間は約45分、ドイツ語による歌唱とダイアログ(台詞)からなる。
(モーツァルト『魔笛』と同じスタイル)
完成の翌年、ウィーンのケルントナートーア劇場にて7回上演されたというから、まずまずの評判であったのではないだろうか。
 
村長の娘リースヒェンはこの日が18歳の誕生日。
彼女にはアントンというフィアンセがいる。
そこへ突然、フランツ・シュピースという男が登場。
フランツはリースヒェンの名付け親であるとともに、彼女との結婚の約束を18年前に(!)村長に取り付けていた、というところから騒動が始まる。
フランツが役所へ出掛けている間に今度は、戦死したと思われていたフランツの双子の弟フリードリヒが帰ってきて...
あとは定番の人違い、勘違いのドタバタ劇となる。
(フランツは右眼に眼帯を着けているが、一方のフリードリヒは左眼に...など)
最後にはすべての誤解がとけ、リースヒェンとアントンは無事に結婚、双子の兄弟も再会が叶ってめでたしめでたし。
 
序曲はソナタ形式。
その明るさ、軽さはロッシーニ風であるが、旋律の歌ごころや転調の妙はシューベルトの個性そのものだ。
第1主題はリズミカルな弦のユニゾンと爽やかな木管のレガートで始まる。
 
第2主題は属調関係にあるイ長調ではなく、ヘ長調で示される。
朗らかでコミカルなクラリネット。
 
シューベルトらしい転調を経て、古典形式に則って属調に落ち着き呈示部を閉じる。
展開部はきわめて短い...モティーフの反復と、そしてここでもさりげなく美しい転調的展開をみせる。
 
再現部はほぼ型どおりに進むが、第2主題は原調で...と思いきや変ロ長調に。
(そう来ましたか!)
4分あるかないかの小品だが、『フィガロ』や『バルビエーレ』の序曲と並べても遜色ない完成度である。
 
ストーリーは他愛のないコメディであるが、シンプルに面白いと思う。
(個人的には好きである)
セミステージ形式、ダイアログは日本語にして上演...なんていうのはどうだろうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 23:08| Comment(0) | 音楽雑記帳
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