2016年03月04日

【中期のシューベルト2】序曲ホ短調

 
序曲ホ短調 D648
 
作曲:1819年2月
編成:フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット各2、トロンボーン3、ティンパニ、弦五部
 
6分ほどの演奏会用序曲。
シューベルトは1817年にも2つの序曲を書いており(イタリア風序曲D590、D591)、このジャンルでは当時より人気を得ていたという。
この頃ウィーンで評判となっていたロッシーニのスタイルに倣った作品ということで、のちに "イタリア風" と名付けられた。
 
さてこのホ短調D648、今回初めて知った曲なのだがなかなか面白い。
以下、古典派〜初期ロマン派の序曲ということでひとまずソナタ形式の枠に当てはめて見てゆく。
 
 
Allegro moderatoの冒頭、ホ短調という調性のもつ性格のとおり、劇的なユニゾンの強奏で始まる。(譜例A)
第一主題部は鋭い付点リズムと分散和音による音型により進んでゆくが、シューベルトらしい息の長い旋律は出てこない。(譜例B, C)
リズムモティーフの反復で執拗にたたみかけ、中期のベートーヴェンを思わせる楽想である。
 
最初のクライマックスののち、第二主題はト長調(平行調)で静かに現れる(譜例D)。
第一主題とのコントラストはそれほど強くなく、ここでも付点リズムモティーフが支配的である。
 
 
続いてヴァイオリンにより奏される譜例E(明らかに譜例Dから派生)は、この曲の中でもっとも旋律的なものといえよう。
そして小結尾はロ長調(同主調の属調ということになる)で輝かしく響きわたり、呈示部を閉じる。
 
続く展開部に相当する部分は非常に短い...ほとんどエピソード的である。
ほどなくして第二主題部が、上記譜例D→E→Fの順で型通りに再現される。
全休止ののち、テンポを速めて (Più moto) コーダに入る。
コーダもこれまでの素材を用い、喜ばしい気分のうちに華々しく全曲を閉じる。
 
第一主題部が展開部以降でまったく現れないことや、各要素の「繋ぎ」にやや不器用なところがみられる(ブルックナーの初期交響曲群に通ずるものがある)など "ツッコミどころ" も少なくはないが、それらを差し引いても不思議な魅力を感じる作品だ。
 
posted by 小澤和也 at 22:22| Comment(0) | 音楽雑記帳
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