2018年03月27日

【音楽雑記帳】ハイドン交響曲 (1) 1766-1773

 
ハイドンの交響曲創作における最初の充実期、1766〜1773年頃までの作品について自分なりに少しまとめてみた。
まず、この時期のものとされている19曲を再掲する。
(作曲年代および表記順序はあくまで僕の個人的な分類・参考データである)
 
§1767年
第38番ハ長調、第35番変ロ長調、第58番ヘ長調
§1768年
第26番ニ短調『ラメンタツィオーネ』、第41番、第49番へ短調『受難』第59番イ長調『火事』
§1769年
第48番ハ長調『マリア・テレジア』、第65番イ長調
§1770/71年
第43番変ホ長調『メルクール』、第44番ホ短調『哀しみ』
§1771年
第42番ニ長調、第52番ハ短調
§1772年
第45番嬰へ短調『告別』、第46番ロ長調、第47番ト長調
§1773年
第51番変ロ長調、第50番ハ長調、第64番イ長調『テンポラ・ムタントゥール』
 
 
1) 楽器編成と使用方法
この時期の楽器編成の基本形は
オーボエx2、ファゴット、ホルンx2 および弦五部
である。
 
・次の4曲ではトランペットx2およびティンパニが加えられる
第38番、第41番、第48番、第50番
=すべてハ長調の作品
 
・第41番の第2楽章ではフルートが独奏楽器風に用いられる
 
・緩徐楽章では編成が縮小される
1767年の3曲は管打楽器がすべて省かれる
それ以降の作品ではファゴットやトランペット、ティンパニが休みとなることが多い
 
またこの頃よりハイドンは緩徐楽章においてヴァイオリンのパートに弱音器使用の指示を与えるようになる。
1767年:1曲/3曲中
(第38番。但しこれはエコーの効果を出すために第2ヴァイオリンにのみ指示)
以降
1768年:1曲/4曲中
1769年:1曲/2曲中
1771年:4曲/4曲中
1772年:3曲/3曲中
1773年:2曲/3曲中
と、年を経るごとにこの形がスタンダードとなっていったのがわかる...これによってハイドンはより繊細な感情表現を獲得した。
 
 
2) 楽章構成とテンポ指示
全19曲中、16曲が
急ー緩ーメヌエットー急 の4楽章構成をとる。
例外は以下の3曲:
第26番...急ー緩ーメヌエット の3楽章構成
第49番...緩ー急ーメヌエットー急
(バロック期の教会ソナタ形式を思わせる)
第44番...急ーメヌエットー緩ー急
 
・第1楽章 (第49番においては第2楽章) では大多数の14曲が Allegroおよびそれに類する速度標示をもつ
cf. 第50番のみAdagio e maestosoの序奏部あり...この試みは1774年以降のハイドンのスタイルの先駆となる
 
・緩徐楽章は9曲がAdagio類、8曲がAndante類の指示
 
・メヌエットはおよそ半数の9曲がAllegrettoだが、速度指定のないものも9曲ある
cf. 第51番はTrio (中間部) を2つもち、当時としては珍しい五部形式のメヌエットとなっている
 
・フィナーレ楽章 (全18曲中) はPresto類の標示が13曲、残る5曲がAllegro類
cf. 第45番では周知のとおり、(“告別” のニックネームの由来ともなった) Adagioの部分が後に続く
 
3) 調性の相対的な配置
・冒頭楽章/終楽章はすべて楽曲の調性に一致する
cf. 第26番の第1楽章はニ短調→ニ長調へと楽章内で転調
cf. 第45番の終楽章は嬰へ短調→イ長調→嬰ヘ長調へと移る
 
・第2楽章の調性は
下属調へ移る...9曲
同主調へ移る...4曲
属調へ移る......3曲
平行調へ移る...2曲
調性変化なし...1曲
〜49番。教会ソナタ風のこの曲は第3楽章中間部でヘ長調に転ずる以外はすべてへ短調をとる
 
・メヌエット楽章の主部と中間部の調関係
調性変化なし...8曲
同主調へ移る...8曲
下属調へ移る...3曲
cf. このうちの2曲 (第38番&第35番) はいずれもこのピリオドにおける最初期、1767年の作品
cf. 第50番ではTrioにおける調号は主部と同じハ長調のままだが、音楽は実質的にヘ長調に変わる
 
 
長々と書いてしまったが、これらの作品を繰り返し読み聴きするほどに、ハイドンがいろいろと実験を試みつつ自己のスタイルを確立していくさまが見てとれ、興味は尽きない。
 
1774年頃以降の交響曲についてもいずれ書きたいと思っている。
飛び抜けて有名ないわゆるザロモン交響曲集 (1791〜95年)、これに準ずる人気のパリ交響曲集 (1785〜86年) に向かってハイドンがどのような道を辿っていったのかを知りたいのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 15:20| Comment(0) | 音楽雑記帳
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