2018年04月17日

イシュトヴァン・ケルテスの命日に

 
 
 
今日はハンガリーの指揮者、イシュトヴァン・ケルテスの命日。
(1929.08.28.-1973.04.16)
 
一日の終わりに何か聴こうと思い、取り出したのがこのディスク。
 
 
§ベートーヴェン/交響曲第4番&序曲集
 
バンベルク響とのセッション録音 (オイロディスク原盤) である。
しかし、今日の “おめあて” は交響曲でなく...
最後に収められた「エグモント」序曲。
1960年3月、ケルテスがメジャーになる直前 (ウィーンpoとのあの『新世界より』をレコーディングしたのが1961年3月) の演奏ということになろうか。
 
感情に溺れず、奇を衒ったところの一切ない「真っ直ぐな」ベートーヴェン演奏だ。
Sostenuto, ma non troppoの序奏部においてもインテンポを基調とし、弦楽器の強奏による主要モティーフの連打も重苦しさとともに「造形の美しさ」を感じさせる。
 
 
Allegroの主部、長いクレシェンドの後の最初のクライマックス (66小節〜)。
ヴァイオリンの上行旋律 (f-g-as-b/g-as-b-c/as-b-c-des-des-e-f) が圧倒的な存在感を示す中で、ケルテスはヴィオラの反行形をしっかりと響かせる。
 
 
さらにあと一つ、些細なことなのだが不思議と耳に残った箇所がある。
コーダ、Allegro con brioから「勝利のシンフォニー」が始まる...その307小節〜はエグモントの魂の勝利とそれを讃える民衆の喝采の場面。
ヴィオラ・チェロおよびファゴットが四分音符でうねるような音形を奏で、それを補強するように4本のホルンがf音/g音を吹くのだが、ケルテスはこれをあたかも余韻たなびく鐘の音の如く響かせる。
そしてスコアを見ると...
確かにホルンは (ほんの少し長めの) 付点四分音符で書かれているのだ。
ケルテスの楽譜の読みの深さに改めて驚嘆するばかりである。
 
 
ケルテスの「エグモント序曲」には僕の知る限りこれ以外に2つの記録がある。
 
2) ロンドン響 1964/3/13 Live
3) 日本フィル 1968/5/1 Live ※DVD
 
3種類もの同曲異演が遺されているというのはケルテスにしては珍しいのではないか?
2)、3) ともにライヴ収録ということもあって、それぞれに独自の表現が施されているように思える。
それらを聴き比べるのもまた一興であろう。
 
 
 
posted by 小澤和也 at 01:50| Comment(0) | 日記
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