レクイエム 完成: 1863年2月、パリ 初演: 1863年9月、聖グドゥラ教会、 ジョゼフ・フィッシャー指揮 出版: ペーテル・ブノワ財団 (アントウェルペン) 激動の一年 1862年6月、ブノワはパリでオッフェンバックが主宰するブフ=パリジャン劇場の指揮者に就任します。日々の公演とリハーサル、新聞や雑誌への音楽評論執筆、そしてそれらの合間に作曲...と彼は精力的に活動しました。その間に書かれたのがこの「レクイエム」です。 ブノワはこの地でオペラ作曲家としての成功を目指しましたがそれは叶わず、翌年3月にこのポストを離れます。それゆえ「彼にとってこの一年は100年にも感じられるような耳と魂の拷問であったに違いない」(ブロックスによる伝記より)とも評されますが、この経験がブノワの芸術的見識を拡げ洗練させる助けになったことは確かでしょう。 レクイエムの特徴とその魅力 この曲の最大の特徴はやはり合唱パートでしょう。以前に取り上げた「アヴェ・マリアop.1」と同様、大小二群に分けられた二重合唱が劇的な効果をあげています。 そして「ベネディクトゥス」では小合唱の中にソロパートが置かれ、さらに「サンクトゥス」および「ベネディクトゥス」では大合唱のソプラノに少年合唱を加えるなど、ブノワの響きに対する徹底したこだわりが感じられます。 聴きどころは枚挙にいとまがありませんが、私がもっとも好きなのは「ディエス・イレ」の中盤、”Recordare(思い出したまえ)“ の優しく愛撫するような旋律です...この部分は何度聴いても心が震えます。(下記参考動画 16’40”〜) 【参考音源(CD)】 ・ルールストレーテ指揮、BRTN室内管&合唱団、コルトレイク混声合唱団 (1975年録音) Etcetera KTC1473 (2枚組) ・ペーテル・ブノワ 宗教曲四部作 デ・ワールト指揮、アントワープ響、ナミュール室内合唱団、オクトパス交響合唱団 (2015年ライヴ録音) Royal Flemish Philharmonic RFP013 私が初めてこの曲を聴いたのはヘレヴェッヘ指揮のライヴ録画でした (現在Youtubeで全曲視聴可能)。 その後、上記ルールストレーテ盤のLPを入手、長らくこれが唯一の録音だったようです。 2018年、三人の指揮者による「宗教曲四部作」全曲を収めたアルバムが発売されました。 ルールストレーテ指揮による演奏へのリンクはこちら↓↓ |
2024年05月01日
ブノワを知る10曲 (3)
posted by 小澤和也 at 11:24| Comment(0)
| 音楽雑記帳
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