2024年06月13日

ブノワを知る10曲 (4)

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《フルートと管弦楽のための交響詩》

作曲: 1865年、ブリュッセル
初演: 1866年2月、ジャン・デュモン(フルート)
出版: Schott社(ブリュッセル)


§母国に戻って

1863年春にパリを離れたブノワは首都ブリュッセルを新たな活動の拠点とします。
この年の7月に (前回記事にて取り上げた)「レクイエム」を初演、その後もベルギーにおいて精力的に音楽活動を展開しました。
1864年にはアントウェルペンの王立ハーモニー協会のための「賛歌」をはじめ多くの合唱曲を、その翌年には初めてオランダ語による歌曲を作曲しました。(「3つの歌曲 op.39」)


§フランデレンの音楽文化振興をめざす

この頃のブノワには一つの目標がありました。
それはドイツに倣って、フランデレンにおいても定期的な音楽祭を開催するという構想です。
『〜このような年に一度の祭典は、ベルギーにとって真の恩恵となるだろう。これまでイタリアやフランスの作品に親しんできた聴衆の知的好奇心を大いに満足させることができる。国民芸術はこうした純粋な源泉によって発展し、やがて世界の偉大な流派と互いに肩を並べ生き生きと輝くだろう』
(ブノワが州政府に提出した論文より)


§フランデレンの古い伝承に触発されて

1865年の末、当時国際的に活躍していたベルギーの名フルート奏者、ジャン・デュモンのためにブノワは華やかな技巧と豊かな詩情にあふれた協奏的作品を書きました。
曲は3つの楽章からなり、それぞれに標題が与えられています。

T. Feux follets (鬼火)
U. Mélancolie (メランコリー)
V. Danse des follets (鬼火の踊り)

ブノワは同時期に作曲した「ピアノと管弦楽のための交響詩」、またパリ時代のピアノ曲集「物語とバラッド集 op.34」(1861) にも同じように各曲にタイトルをつけており、これらを彼の故郷の伝説にインスパイアされた有機的な連作とみなしたのでした。
19世紀ロマン派期の数少ない管楽器協奏曲の佳作として、単に珍しいからという理由でなくもっと広く知られ演奏されるべき作品であると思います。


【参考音源(CD)】
・リート(フルート)、デフレーセ指揮、ロイヤル・フランダース・フィル
(1995年録音)
Marco Polo 8.223827

・リート (フルート)、ボロン指揮、SWRシュトゥットガルト放送響
(2004年録音)
Hänssler 98.596

リート独奏/デフレーセ指揮による演奏へのリンクはこちら↓↓
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posted by 小澤和也 at 16:38| Comment(0) | 音楽雑記帳
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