ペーテル・ブノワ
「レクイエム」日本初演
来春の演奏会へ向けてのプローベが始まった。
途方もなく長かった構想の日々、力強い協力者を得てからの入念な準備期間を経て、これまた最高の仲間たちとともにこの日を迎えられたことに心からの感謝を。
第1曲「レクイエム」冒頭の男声合唱は神秘的に、ときに虚ろに響く。続く“Kyrie”(主よ憐れみたまえ)での大小コーラスの交唱はこれと対照的に、深い慈愛の情をもって滔々と流れゆく。ブノワが好んで用いた二重合唱による筆致が早くも活かされる場面だ。
─ とは言えプローベはまだ始まったばかり。はやる気持ちを抑えつつ前へ進む。
第2曲「怒りの日」はモーツァルトやヴェルディがそうしたように、叩きつけるような激しい楽想で始まる。この章では二重合唱によるポリフォニーの綾とともに、ユニゾン(斉唱)が不気味な効果をあげるのだ。
音楽は中間部に差し掛かる。全曲中で私のもっとも愛する“Recordare”(思い出したまえ)、無伴奏のコラール主題を聴く。
(ああ...ブノワの響きがする...)
思わず頬が緩んだ。
〜Recordare冒頭、こちらからお聴きいただけます〜
これから半年をかけ、ブノワが音で描いた「神の世界」へ一歩一歩近づいていきたいと思う。
PBIヴォーカルアンサンブル 第2回演奏会
PETER BENOIT
REQUIEM 〜レクイエム〜
2026年3月20日(金・祝) 14時開演
たましんRISURUホール(立川市市民会館)大ホール

