[ディエス イレ]
この楽章は大きく3つの部分に分けられる。
第一部…ト短調を軸とし、
ドラマティックな構成・曲想
第二部…上と対照的に、柔らかくなめらかな楽想を展開、
変ホ長調に始まるが転調を繰り返す
第三部…第一部分の回帰、ただし構成的にはかなり縮小
§第一部
Maestoso agitato ト短調 4/2拍子
大小合唱と管弦楽のユニゾンにより第一の主題がffで爆発的に歌われる。
(「その日こそ怒りの日〜」)
主題の前半部分:「ミーレー|ファミドレ|ミーーー|ラーーー」
すぐにテンポを速め、「どれほどのおののきが〜」と主題の展開形を歌い始めるが、突然鳴り響く金管のファンファーレ(最後の審判モティーフと名付ける)によって断ち切られる。
Lento 2/1拍子
最後の審判モティーフ:「ファー|シー|レー|ソ#ー」
2つの下降する減4度による不吉な気分の音型である。
Larghetto quasi andantino 3/2拍子
レチタティーヴォ風の単調な旋律線に乗せて「不思議なラッパが〜」と歌われる。
これと並行して女声合唱が最後の審判モティーフを繰り返し響かせる。
(「怒りの日〜」)
テキスト通り、墓の前に立っているような不気味さ。
Moderato agitato 4/2拍子
再びテンポを速め、新しい曲想により「死と自然は驚く〜」と大小合唱が掛け合いで歌う。
主題といえるほどの独立性はあまりなく、3度上行の連続と目まぐるしい転調を繰り返すフレーズ、そしてなだらかに下降するフレーズが計3回繰り返される。
その間「書かれた書物が〜」「裁き主が座に着き〜」と歌い進められると、音楽は
Larghetto quasi andantino 3/2拍子(前出)
の部分に戻る。
「哀れな私は何を〜」がレチタティーヴォ風に歌われる。
もちろん、最後の審判モティーフも刻み込まれるように響く。
そして、第一部最後のクライマックスへ…
Un poco allegro ト短調 4/2拍子
冒頭主題が展開された形で重々しく「みいつの大王よ〜」と歌われる。
すぐにハ短調に転じ、
Lento 2/1拍子
「私を救いたまえ〜」
と絶叫するその音型は、ほかならぬ「最後の審判モティーフ」である。
その後、音楽は急激に力を弱め、弦楽器のピツィカートとともに第一部を閉じる。
このように、テンポや拍子の変化は激しいが、それらが巧みに繋げられていることにより、また使われている主題や素材が特徴的なため、散漫な印象は与えない。
(第二部へつづく)
2010年09月14日
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