§ハイドン/交響曲第104番「ロンドン」
コリン・デイヴィス指揮アムステルダム・コンセルトヘバウ管弦楽団
('77年録音)
30年以上にわたって書き続けられ、その時々に与えられた編成や機会に合わせて発展を遂げてきたハイドンの交響曲。
その総決算がロンドンでの演奏会のために作曲された、円熟期の12曲(93〜104番)である。
どれも素晴らしい名曲揃いなのだが…
1曲だけ選ぶとなると、僕の中では断然これである。
第1楽章の堂々とした序奏、そして弱音で始まる落ち着いた主部主題にまず惹かれる。
陽気でユーモアたっぷりのハイドンも僕は好きだが、このノーブルな気品はやはり別格だ。
変奏曲形式の第2楽章、それに続くメヌエットにも、単に素朴で可愛らしいだけでない「構成感の確かさ」がある。
そして第4楽章。
賑やかで威勢のよいだけになることの少なくない(「お開きのフィナーレ」という言葉があるらしい)楽章であるが、この曲は違う。
全曲を纏めるにふさわしい、充実した音楽である。
「ここからベートーヴェンに繋がっていったのだな…」
と実感できる、全四楽章の交響曲としての完成度の高さを感じるのだ。
このデイヴィスの演奏に初めて触れたのは10代の頃。
FM放送をカセットに録って、繰り返し聴いた。
冒頭、トランペットとティンパニのファンファーレの音色に、子供ながらにグッときた記憶がある。
その後、カラヤン(ウィーンフィル)やヨッフム、クイケン(これは古楽器)もよく聴いたが、今でも真っ先に手が伸びるのがこのデイヴィス盤である。
「重厚」と「軽快」のバランス、適切なテンポ設定、そして明るさと渋さを併せ持つコンセルトヘバウのサウンドが僕を魅了する。
2010年09月21日
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