§モーツァルト/交響曲第41番「ジュピター」
オトマール・スウィトナー指揮シュターツカペレ・ドレスデン
('75年録音)
これはLP時代からの愛聴盤だ。
珍しく「ジャケ買い」をした記憶がある。
廉価で再発売された限定盤だったと思うが、鮮やかでシンプルな色づかいの、抽象画のようなデザインのジャケットだった。
透明感のあるオケの音色(録音もよかった)、そして妙な人間くささが無くモーツァルトの音楽だけがそこに流れている…
そんな印象を持ったものだ。
第一楽章〜アレグロ・ヴィヴァーチェの指示通りに、素っ気ないほどの快速なテンポ。
まるで羽が生えているかのよう。
これと対照的に、第二楽章(アンダンテ・カンタービレ)はゆったりと、澄み切った夕映えを思わせる響き。
弱音器を付けたヴァイオリンのしっとりした音色がたまらなく美しい。
典雅な、それでいて「はかなさ」を感じさせるメヌエット〜アレグレットを経て、いよいよフィナーレ(モルト・アレグロ)へ…
あらゆる旋律線が縦横無尽に飛び交う様が手に取るようにわかるクリアさとバランス感覚。
結尾のフーガももちろん素晴らしいが、第一主題が再現してすぐ、233小節〜からの約30小節間にわたる「ジュピター音型」(ド-レ-ファ-ミ)の目くるめく展開が実に鮮やかなのだ。
シュターツカペレ・ドレスデンの管楽器の美しさも格別!
わざとらしくなく、実に自然な味わいのモーツァルトである。
※このCDには他に2曲のシンフォニーが収められている。
そのうちの「第32番ト長調 K.318」がまた素晴らしい演奏だ。
急・緩・急の3つの楽章が切れ目なく続く「イタリア風序曲」の形式を持っており、トータル8分程度の短い曲である。
(それゆえ滅多に演奏されない)
これも僕の大好きな曲だ。
2010年11月02日
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