[ベネディクトゥス]
(速度表示無し)変ホ長調 3/2拍子
前章のサンクトゥスから引き続き演奏される。
冒頭、木管楽器とハープによる変ホ長調の属和音が響き、属7から主和音へとゆったりと解決しながらベネディクトゥスが始まる。
オルガンの伴奏に導かれ、まず小合唱アルトがdolcissimo(このうえなく柔和に)と指示されたベネディクトゥス主題を歌う。
「主の名により来られる方に祝福あれ」
この時の伴奏音型には、サンクトゥスで現れた「ド-シ-ド-ラ-ラ-ソ」のモティーフが使われている。
[この主題呈示部分を「A」とする]
3小節の間奏(これもサンクトゥスのモティーフによる)を挟んで、テノールが属調で主題を反復する。
再び3小節の間奏を経て、ソプラノとテノールにより主題が絶妙な転調を伴って展開されると、そこへ「サンクトゥス」冒頭のアカペラ女声四部の響きがエピソード的に歌われる。
(ここで我々は、この2つの章の密接な関係を改めて実感するのだ)
以下、このエピソード(4/2拍子)とベネディクトゥス主題の断片(3/2拍子)が交互に計3回ずつ現れる。
[このエピソード部分を「B」とする]
次いで、小合唱の三部合唱(ベースは用いられない)によりベネディクトゥス主題がポリフォニックに扱われ、転調的に展開される。
[この部分を「C」とする]
そして再びB→C部分が繰り返され、その後冒頭の主題(A部分)が再現、さらに三たびエピソード部分Bがやや拡大されて全合唱および管弦楽によりfで奏され、音楽はクライマックスへと向かう。
最後はミサ曲の定型に従い、サンクトゥスで用いられた
「天のいと高きところにホザンナ」
が堂々と歌われ、オルガンの後奏、ハープの分散和音、そして「サンクトゥス」冒頭の女声合唱が回想のように静かに響き、ベネディクトゥスの章を終える。
終始穏やかな曲想ながら、有機的な構成と転調の妙、それに拍子の変化も取り入れた7分余りの充実した楽章である。
(つづく)
2010年11月11日
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