この松の内のあいだに、ベートーヴェンの交響曲を順に聴き込んだ。
特別な意図がある訳ではない。
年の初めに際して、改めてこの作曲家の遺した偉大なる世界へ「詣でる」…といった心境か。
一日に1曲ずつ、聴きながら思ったことを気ままに呟いてみた。
交響曲第1番ハ長調…ピアノソナタと弦楽四重奏曲で力を蓄えた作曲家が、満を持してウィーンの音楽界に投げ掛けた挑戦状。先人が創り上げた交響曲の器に新しい生命が吹き込まれている。僕にとっても、あらゆる意味で「原点」のような曲だ…初心忘るべからず。
交響曲第2番ニ長調…アクセントやsfのやたらな程の多さ、猪突猛進的なフィナーレに「革命前夜」のようなきな臭さを感じるのは僕だけだろうか。一方で、第二楽章ロマンツェの愛の旋律は、あの「月光ソナタ」に通ずる甘美さを持つ…エロイカまであと2年。
昨日に続き、譜読みの合間にベートーヴェン「エロイカ」を聴く(フリッチャイ盤)。この音楽の持つ「意志の力」には真に心を動かされる。もう何度聴いたかわからないのに…
勉強の手をしばし休め、第4交響曲を聴く。前作からの2年の間に更なる進化を遂げたことが解る。プロポーションの美しさ、転調の妙、終楽章はハイドン的なユーモア満点。「第5」が有名過ぎて損をしているが、これは充実の名作だと思う。ベートーヴェンの「どや顔」が見えるようだ。
交響曲第5番ハ短調…リズム、そして楽曲構成そのものが表現の主軸を成す破格の第一楽章。次のアンダンテ主題は優しく穏やかだが甘美には傾かない。コーダ&ブリッヂを備えた独創的なスケルツォ、そして勝利の第四楽章は先行3楽章の要素を全て包含。驚異的大傑作。
2011年01月07日
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