§マーラー/交響曲第4番、歌曲集 他
エリーザベト・シュヴァルツコプフ(S)
ブルーノ・ワルター指揮 ウィーンフィル
('60年録音)
10代の頃、LPで既に持っていた、いわば「思い出の中の」レコードである。
そもそもなぜこの盤を手に取ったのか、その記憶は定かではない。
(ワルター協会盤という、かなりマニアックな体裁のそれであった)
「マーラーの流れを汲む名指揮者」としてのワルターの名前は、おそらく何かで読んで知っていたと思うが。
僕はこの第4交響曲を、カラヤンの演奏で初めて聴いた。
隅々まで磨き抜かれた、ひたすら美しい音楽だな…と思ったものである。
その後聴いたアバド&ウィーンフィルの録音でも、同様の感想を持った。
そこへ、このワルター盤である。
まず、録音のあまりの古さに(モノーラルのライヴだから当然)びっくり。
もっと驚いたのは、オケの濃厚なサウンドとその歌わせ方だった。
「なんだろう、この人懐っこさは…!」
全ての音が(Bassまでも!)徹底して歌い込まれている。
この演奏会がマーラー生誕100年に際して行われたこと、
ワルターとウィーンフィルとの長きにわたる関係、
この盤の演奏が両者の最後の共演となった(1962年に死去)ことなど…
様々な歴史的背景を識ったのは、だいぶ経ってからだった。
そして…
最近手に入れたこのCDを改めて聴く。
タイムカプセルを開けたかのように、当時の記憶が甦る。
ワルターの、1フレーズ1フレーズを慈しむような指揮ぶり…
老巨匠の棒に丁寧に応えてゆくオーケストラ。
声のみならず言葉で聴かせるシュヴァルツコプフの繊細な歌。
ワルターのマーラー解釈は、作曲家の書いたスコア指示に必ずしも忠実ではないと言われている。
その意味では、ワルターのみに許された表現だと思うが、決して忘れてしまいたくない甘い魅力に溢れている。
2011年01月31日
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