2011年02月22日

ブノワ(25):フルートと管弦楽のための交響詩[2]

(続き)

[第2楽章:哀愁]

アンダンテ、ハ長調、3/8拍子
2つの要素からなる自由なソナタ形式的楽章。

まず、深い森の中の情景を思わせるようなゆったりとした旋律が、4本のホルンによって奏される。(主題A)
20110222_2094990.jpg
ヴェーバーの「魔弾の射手」序曲の冒頭を連想させるような響きだ。
(調性も同じハ長調である)

これに続いて、独奏フルートがイ短調のメランコリックなテーマを奏でてゆく。(主題B)
20110222_2094991.jpg
この楽器独特の暗い音色を持つ中〜低音域を巧みに用いた、標題通り哀愁に満ちた美しいメロディである。
この部分が終わると、弦楽のユニゾンで表情豊かなエピソード的楽句が現れるが、再びフルートによる(B)がホ短調で繰り返され、ト長調に落ち着く。

次いで、Molto tranquillo(非常に穏やかに)の部分に入り、フルートが三連符のなだらかなカデンツァを奏する。
ほどなく、弦楽器のピツィカートによって(A)がカデンツァに絡むように再現…
続いて全合奏のfで(A)が力強く響く中、フルートはより技巧的なパッセージを展開してゆく。

すると突然、前出のエピソード楽句が不穏な雰囲気をもって低弦に現れ、それを引き継いでフルートが(A)のモティーフを短調で再現する。
それがいよいよ高まりを見せ…
と、ここで4本のホルンによる(A)の末尾が柔らかく響き、音楽は楽章冒頭の気分に巡りかえってゆくのだ。
この部分のドラマティックな展開は印象的である。

以下、(B)が独奏フルートにより主調で再現され(ただし1オクターヴ上で、より劇的に)、ハ長調に落ち着く。
最後は(A)の断片を交互に奏でながら、消えるように楽章を閉じる。

(この項つづく)
posted by 小澤和也 at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽雑記帳
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