(続き)
[第3楽章:鬼火の踊り]
四分音符=126、ホ短調、2/4拍子、ソナタ形式
イタリア語による速度表示は無いが、Allegro vivace的な快活な楽章である。
まず、弦楽器のユニゾンによる激しいモティーフの序奏で幕を開ける。
これに続いて、管楽器のリズムに乗せて独奏フルートが生き生きとした第一主題を奏でる。
ラテン的な情熱と民族的な土臭さを併せ持ったような旋律だ。
短い推移部を挟んで、第一主題が属調(ロ短調)で繰り返されると、序奏部の音型が全管弦楽を伴って現れ、最初のクライマックスをつくる。
すると、フルートがこの音型を伸びやかに受け継ぎ、ソリスティックに展開する副次主題部に入る(ニ長調)。
これが収まっていきト長調に落ち着くと、やや速度を減じ(Meno animato)、弦楽器の三連符リズムの上でなめらかな第二主題が独奏フルートによって示される。
(詳細は不明だが、このメロディも民謡風な雰囲気を持っている)
この部分が終わると、前出の副次主題部の変形が短く現れ、展開部へと進む。
展開部は規模としてはそれほど大きくない。
序奏モティーフや第一主題などの素材を用いて構成されている。
そして、独奏フルートが細かいパッセージを奏でてゆく中、クラリネットとホルンによる第二主題がこれに重なって現れる場面は印象的だ。
短い推移を経て、再現部へ入る。
呈示部より若干縮小された形で、ほぼ型通りに進んでゆく。
副次主題はロ長調で、そして第二主題は同主調(ホ長調)で再現される。
コーダに入るとフルートが再び技巧を見せ、管弦楽と共に激しく盛り上がって全曲を閉じる。
この曲は比較的演奏機会に恵まれているようだ。
(ブノワの作品としては、であるが)
またCDも数種類出ている。
決して多いとはいえないロマン派のフルート協奏曲の一つとして、もっと広く知られてよい佳品である。
(この項終わり)
2011年02月24日
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