
先日入手した Kindercantate "De Waereld in!" について、少し調べてみた。
作曲の動機は?
なぜこのときに?
…そしてブノワは何を表現したかったのか?
これらを考えるにあたっては、当時のヨーロッパの情勢や、ベルギーという「国」の、ひいてはフランデレンという「地域」の歴史を無視することができない。
けれども…まずは作品そのものを見ていこう。
ユリウス・デ・ヘイテル(Julius de Geyter)によるテキストを、拙い語学力で訳してみた。
できるだけ忠実に、でも難解な部分は想像力をふくらませて…
多分に教育的・啓蒙的であり、後半は若干「きな臭い」けれど。
以下に全文を記す。
世界の中へ!
・子供たち
家に置かれた植木鉢
五月の 母なる種
僕らは種が芽を出し 伸びてゆくのを見た
そしたら僕らは 自分たちの手で
草木にお水をあげよう!
・少女たち
お母さんのお庭 なんて光ってるんでしょう
輝きいっぱいの花々
なんてすてきに色づいて!
なんていい香り!
・娘たち
踊って遊びながら 花を摘みましょう
花輪をひとつ またひとつ
たえず育ち
たえず咲く
青葉の中で開く 小さな花
・少年
君たちの頬が バラのように赤く…
・少年たち
父さんの果樹園の あたり一面
実ったくだものが僕らに微笑みかける
天からの賜物として 摘み取ろう
・子供たち ・少女たち ・娘たち ・少年たち
種… 草木… 花… 果実…
・全員
こうして自然は 土と空気より創られる
学校もまた 心と魂をこめて創られる
かくて今 学びの園を祝おう!
・子供たち
僕たちはまだ種だけど やがて草木になるんだ
・少女たち
私たちはまだ草木だけど やがて花になります
・娘たち、少年たち
祖国は私たちに期待しています
繁栄、自由、そして誇りの果実となることを
・少年たち
強健な腕と明晰な知力をもって…
・娘たち
清らかな心と喜ばしい感覚をもって…
・全員
人間に約束されたあの楽園のように
世界へ! 世界へ!
・少年たち
そして僕らは種をまき 刈り取ろう
いくつもの海をわたろう 自由な鷲のように
ハンマーは激しく打ちつけ 車輪はブンブンとうなる
村人は立ち上がり 市民は気取って歩く
心臓は鼓動し 魂は光り輝く…
ともにこうして 心からの喜ばしい繁栄が
この国に与えられるでしょう
・少女たち、娘たち
あなたの姉妹、花嫁、配偶者、そして私たちはお家で
あなたたちに たくさんの幸福を贈りましょう
平和と安らぎのなかで
活気とともに
あなたたちの心は満ち足りるでしょう
・少年たち
平和と安らぎのなかで
活気とともに
僕らの心は満ち足りるでしょうか?…
けれども 敵が僕らの家に攻めかかってきたら
僕らは立つでしょう 樫の木のように
僕らは戦うでしょう 英雄のように
故国のために 僕らの血を犠牲にする覚悟はできています
男は 自由と幸福のための盾なのです!
・少女たち、娘たち
そして女性は 傷と苦難を癒します
・全員
いいえ! いいえ! いいえ!
この地上にあるのは兄弟愛だけ
憎しみなどはない
青春 それは草木のように
友愛の絆として花開き
国じゅうに広がっていく
人類はひとところにあって
そこには 知性と労力の所産がある
すべての国境に、繁栄を
素晴らしき 価値ある青春!
(この項つづく)