§ドビュッシー/映像第1&2集、版画
ジャック・ルヴィエ(pf)
('86年録音)
ときどき、無性にドビュッシーのピアノ曲が聴きたくなる。
あの何とも感覚的な、夢幻のような響きと旋律に浸りたくなるのだ。
「アラベスク」や「ベルガマスク組曲」はとってもチャーミング。
幽玄の極致、「前奏曲集」もいい…
でも、いま僕がいちばん好きなのがこの「映像」「版画」だ。
ドビュッシーはフランスの作曲家として、ドイツに代表される古典派音楽の図式的な形式感からの解放を常に意識していたという。
『論理の枠組みを嫌い、交響曲に手をつけず、展開の技法を遠ざけ、ソナタらしいソナタを書かなかった。』
(吉田耕一氏の文章より)
そんなドビュッシーが到達した、ピアノ作品の "ひとつの新しいかたち" が、「映像」「版画」の中に結実している。
各曲とも、中庸−緩−急の速度感を持つ3つの小品からなっており、斬新な和声法を用いつつも、モティーフの構成や展開はきわめて論理的だ。
作品としての有機的なまとまりとファンタジー、すなわち知と情のバランスが素晴らしい。
ルヴィエの演奏にも同じことが言えると思う。
磨かれた音色、過度の緊張からの解放、それでいて決して溺れてしまうことのない情感。
各曲に付けられた、無限のイマジネーションを呼び起こすかのようなタイトルも好きだ。
「映像 第1集」
1.水の反映 2.ラモーをたたえて 3.動き
「映像 第2集」
1.葉ずえを渡る鐘の音 2.そして月は廃寺に落ちる 3.金色の魚
「版画」
1.塔(パゴダ) 2.グラナダの夕暮れ 3.雨の庭
2011年04月03日
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