
山枡信明さんのリサイタルを聴く。
(8月18日(木)/神奈川県民ホール小ホール)
山枡さんはデュッセルドルフ在住のテノール歌手。
知り合ったきっかけは…
ツイッターを通してのお喋りだ。
いつも含蓄のあるつぶやきを書かれていらして、すぐに意気投合。
この日が待望(?)の初対面である。
「夏のリサイタル10周年記念」と銘打って開かれた昨晩のリサイタル。
ドイツリートを中心とし、その間に日本歌曲を挟む形の、実に盛りだくさんなプログラムであった。
まず前半は…
モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、そしてR.シュトラウス(これだけでもすごいラインナップ!)の名曲の数々。
やや緊張気味のスタートだったが、ほどなくホールの響きと馴染んできたようであった。
山枡さんの声は常に柔らかく美しい。
また、決して楽曲を力で征服しようとなさらない。
歌声とテキストとの調和、さらには伴奏ピアノとの調和を常に意識されている。
シューベルトでは『夜と夢』のピアニシモが絶美。
次のシューマンでは『静けさ』と『月夜』がattaccaで歌われた。
あたかも、広い空間に美しい弧をスッと描くように。
思わず客席で(納得!)と呟く。
そしてシュトラウス。
『万霊節』が、まさに感動的な歌唱!
万霊節とは…
キリスト教で、この世を去ったすべての信徒を
記念する日。11月2日。(広辞苑より)
詩は三つの部分からなる。
はじめの二節では、愛する人に優しく話しかけているかのようだ。
《ふたりでもう一度愛を語ろう
かつての五月のように…》
そして…第三節は次のように始まる。
《今日はどの墓にも花が飾られ
香りを放っている…》
そう、愛する人は亡き人だったのだ。
その第三節に入ったところで、
舞台上の山枡さんが浮かべたこのうえなく優しい微笑み。
(少なくとも僕にはそう見えた!)
その瞬間…
僕は込み上げる気持ちをほとんど抑えられなくなっていた。
旋律とテキストとの妙なる調和がそこにあった。
プログラム後半については…
改めて書くことにしよう。

