中田喜直の「霧と話した」。
合唱団あしべが、この秋の合唱祭に向けて取り組んでいる曲だ。
オリジナルは独唱歌曲である。
1960年の作曲であるから、既に半世紀を越えて歌われていることになる。
わたしの頬はぬれやすい
わたしの頬がさむいとき
あの日あなたがかいたのは
なんの文字だかしらないが
そこはいまでもいたむまま
そこはいまでもいたむまま
霧でぬれたちいさい頬
そこはすこしつめたいが
ふたりはいつも霧のなか
霧と一緒に恋をした
霧と一緒に恋をした
みえないあなたにだかれてた
だけどそれらがかわいたとき
あなたはあなたなんかじゃない
わたしはやっぱり泣きました
(作詩 鎌田忠良)
失われた恋への哀しい回想。
わたしの心に何かを残していったあなた。
「霧」とは、わたしの夢か…あるいは幻想だろうか。
三連からなる詩であるが、第一連の終わりと第二連のはじめ、
さらにその連の終わりと次の連のはじまりが同じである。
これにより、音楽により自然な流れが与えられているのだ。
その音楽は A−A'−B−A" の構成。
(最後の A"では第一連を繰り返す)
A& A'部の旋律はヘ短調。
きわめて滑らかに歌われるが、アルト声部やソプラノのオブリガートに時折現れる「増2度」音程がどことなく不安な雰囲気を醸している。
対するB部は変イ長調で始まるが、すぐに高まりを見せ、
「あなたはあなたなんかじゃない」の部分で激しい叫びとなる。
最後の A"部は主題の残像のごとく響く。
そして、救いなく消え入るように終わるのだ。
3分程度の短い曲だが、
美しい佇まいと限りない幻想性をもった佳品である。
あしべのあたたかい声で、優しく歌いあげたい。
2011年08月25日
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