2011年09月14日

私の愛聴盤(26)

§ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」
 エーリヒ・クライバー指揮コンセルトヘボウ管弦
 ('53年録音)


偶然にもベートーヴェンが続いた。
今回は「田園」。
作曲は1807〜08年、「ジャジャジャジャーンッ!」の第5交響曲と同時期にあたる。
(それにしても…なんと対照的に響く2曲だろうか!)

 余談だが、「田園」はベートーヴェン自身による命名。一方の
 「運命」は、後世の人々が勝手に付けたニックネームだ。
 (運命という呼び名がこんなに愛好されているのは日本ぐらい
 ではないかしら…)


エーリヒの演奏、ひとことで言えば「辛口」の田園である。
ワルター盤での、お爺ちゃんが孫をあやすような温かい眼差しや、バーンスタインの啓蒙的なサービス精神はここには見られない。
代わりにあるのは、リズムの鋭い切れ味と、表現の細部をオーケストラ任せにしない頑固なまでのこだわりだ。


そう、先ほどは田園と第5を「対照的」と書いたのだが、
エーリヒは、演奏解釈のアプローチとしては両者を区別せず、「凝縮」と「激しさ」に代表されるベートーヴェンの「中期様式」の作品として、一貫した立ち位置で見つめている。
そして、僕に〜ワルターやベームでこの曲に入門した僕に〜「そのこと」を教えてくれたのだった。


オーケストラがコンセルトヘボウというのも、名演となった要因だろう。

 エーリヒのリハーサルは詰めがキツかったと言われている。
 しかしコンセルトヘボウは、言葉は悪いがそれには既に慣れっ
 こだったのではあるまいか。
 (何しろ前任があのメンゲルベルクである!)
 
第2楽章の夢見るようなテンポの揺らぎや、第5楽章第一主題に施された微妙なニュアンスを聴くと、エーリヒがいかにこだわりをもってオーケストラと対峙しているかが感じられる。
また、それに応えるコンセルトヘボウのアンサンブルと音色が素晴らしい。


凛々しく力強い、まさしく「中期様式」の田園である。
posted by 小澤和也 at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 愛聴盤
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/53371737
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック