§モーツァルト/ミサ曲ハ長調「戴冠ミサ」K.317
イシュトヴァン・ケルテス指揮ウィーン響、エディット・ガブリー(s)他
('61年録音)
この曲の魅力を僕に教えてくれたレコードである。
ケルテスのモーツァルト演奏に触れるたびにいつも感じること…
それは
「作曲家、そして作品に対する絶対的な信頼」だ。
彼の音楽表現には、誇張や過度の演出が無い。
すべてが自然である。
聴き進んでいくうち、逆に
《ケルテスが天国のモーツァルトから信頼されて、
これほどまでに美しい表現力を授かった》
のではないかと思うほど。
録音が古くてやや損をしているが、このコンパクトな佳曲を「等身大」で描いたチャーミングな演奏だと思う。
「キリエ」の落ち着きはらった佇まい、
しなやかなリズムを持って進む「グローリア」、
まさに「信条の表出」というに相応しい「クレード」の実直さ…
楽曲への深い愛情と確信がそこにある。
ソプラノ独唱のエディット・ガブリーはケルテス夫人。
「フィガロ」第3幕で伯爵夫人が歌うアリア
Dove sono i bei momenti(あの美しい時はいずこへ)の原型とも言える、
柔和で高貴な「アニュス・デイ」の旋律を歌うエディット、
そこに優しく寄り添うケルテスの姿がなんとも微笑ましい。
2011年11月11日
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