2010年04月08日
ブノワ(11):荘厳ミサ[5]
〜Hoogmis(荘厳ミサ)のつづき〜
[サンクトゥス]
Statig(荘重に) ニ長調 3/4拍子
まず、弦楽器を中心とした重々しい付点リズム音型とともに、全合唱が「聖なるかな」と喜ばしく唱和する。
次いで管弦楽のレガートに導かれて小合唱のソプラノとテノールが「万軍の神なる主は」としなやかに歌うが、ほどなく力を取り戻し、attaccaで
Levendig(生き生きと) ニ長調 4/4拍子
の部分に入る。
「天地は栄光に満ち」以降、大小合唱は応唱の形を取り、また大合唱の中でも男声が特に扱われるなど、立体的な音響構造をみせる。
最後は再び全合唱で「ホザンナ」を連呼し、この短い章を閉じる。
[ベネディクトゥス]
Nogal breed (かなり幅広く) イ長調 3/4拍子
このベネディクトゥスで我々は、これまでの楽章とは全く異なる「別世界の響き」を聴く。
(ヴァイオリン・ヴィオラ・全ての管楽器がここでは用いられない)
冒頭、ハープの分散和音に続いて、四分割されたチェロにより主題の断片が柔らかく奏される。
再びハープが鳴ると、テノール独唱がレチタティーヴォ風に「ほむべきかな」と歌う。
この甘美な声とチェロとのブレンドされた響きが絶美である。
次いで、合唱のppとともにオルガンが奏でるたおやかなモティーフ、これはもう僕にとっては「天上の空気感」そのものだ。
「・ソド#ミレシ|ドソファ#ラソ・〜」(←画像参照)
これらのやり取りが終わると、いよいよテノールが主題を綿々と歌う。
「・・ソ|ミソド|ラーソ|ファーー|ミー〜」
「天上の」オルガンのそれに比べてシンプルな音の進行だが、実に優しい。
既出のハープ、チェロ、ほのかに響く合唱、そしてオルガンが独唱と溶け合ってゆく。
この場面が永遠に続くかのように思えたそのとき…
「高揚して」と指示された男声合唱の「ホザンナ」が、互いに呼び交わすように聞こえてくる。
iets vooruit(少し前進して)の部分を経て音楽はみるみる力を増してゆき、そこに女声合唱も加わって、サンクトゥスで歌われた「天地は栄光に満ち」の部分に再びなだれ込むのである。
(つづく)
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