2012年05月29日

「スヘルデ」を読み始める

今日はオフ。
ずっと手掛けたかったペーテル・ブノワ/オラトリオ「スヘルデ」のテキスト(フランデレン語)訳読を始める。
ひとまず第1部(全曲は3部構成である)をざっと読み終えた。


第1部は「牧歌」。
ここに登場する配役は

・Het Meisje(少女)ソプラノ
・De Jongeling(青年)テノール
・De Dichter(詩人)バリトン
・De Vaarman(船乗り)バリトン
+合唱

【第1曲…前奏と詩人の叙唱】
管弦楽のゆったりとした導入の音楽に続いて、詩人が歌う。
「おお、スヘルデ、私はあなたの声を聞いた」
「スヘルデは歌う、優しく楽しげな、愛と喜びの言葉を…」

【第2曲…若者たちの二重唱】
青年と少女が登場。
「燃えるような夏、ここはなんと涼しいのだろう!…」
「花々でいっぱいの岸辺はなんていい香りがするのでしょう!…」

【第3曲…船乗りの叙唱と合唱】
船乗りの荒々しい叫びが響く。
「波が楽しげに戯れ、飛び跳ねる…
さあ、出帆せよ!」
そこへ合唱(農民たち)が
「陽の光が会釈する…そして西へと沈んでゆく…」
と朗らかに加わる。
この合唱と船乗りの声との応酬が幾度か繰り返される。

【第4曲…若者たちの二重唱】
短く柔和な『愛のデュエット』。
「ひそやかな喜びの声が、僕をスヘルデへといざなう…」
「あたたかな魔法の歌が私を目覚めさせる…出帆への甘美な願望へと…」

【第5曲…フィナーレ】
合唱(村人たち)
「家畜は小屋へと向かう…私たちもまた、休息と平安を求めよう…」
青年
「心地よい風、そして甘い愛…
優しい恋人よ、僕の腕の中へ!…」
少女
「あなたの声は私の心を動かします、波のさざめきのように…
私はあなたの腕の中におります…」
船乗り、合唱
「出帆だ!」


ブノワが(そして台本作家エマニュエル・ヒールが)ここで訴えかけたかったのは、偏に『フランデレン民族のアイデンティティ』だったであろう。
それを考えれば、この素朴で土臭いストーリー展開も合点がゆく。
時は19世紀後半、フランデレン語復権運動のまっただ中であった。
posted by 小澤和也 at 00:49| Comment(0) | 日記
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