2013年03月27日

ハイドンの挑戦

 
最近興味を持っているのが、ハイドンの交響曲。
それも晩年の「ザロモン交響曲集」ではなく、彼がエステルハージ家の楽長に就任した頃の作品、番号で言うと40〜50番前後のものである。
中では第45番の『告別』交響曲、ついで『哀悼』(第44番)が傑出して有名だが、それ以外にも美しい曲が少なくない。
 
例えば、交響曲第41番ハ長調(1769-70頃作曲)。
その調性が表すように祝祭的な性格を持ち、トランペット&ティンパニが活躍する。
第2楽章では一転して、オーボエやフルートの繊細な旋律が美しい。
そして終楽章は…
モーツァルトのK.338(交響曲第34番)の先取りのような快活なジーグ!
 
交響曲第42番ニ長調(1771年作曲)では構成感の巧みさが聴かれる。
「4楽章制交響曲の様式」をいち早く確立した、いわゆるマンハイム楽派のスタイルを鋭敏に感じ取ったような。
第2楽章アンダンティーノ・エ・カンタービレは、晩年の作品にまったく劣らない深みと高貴さを湛えている。
この楽章だけでも一聴の価値あり!
 
その他、第43、46番なども、知られないままでは本当にもったいない名曲だと再認識した。
しかも、似通ったような曲はまったく無いのである!
これらの作品に触れながら改めて思ったのは、ハイドンはこの交響曲たちを、ほとんどひとりの人(エステルハージ公爵)のために作曲したのだな、ということ。
(祝祭、あるいは何らかの行事のためという動機もあったとは思うが)
 
こういった(ある意味 "閉じた")環境の中で次々と、創意工夫に溢れた交響曲を書き続けたハイドンの意欲には真に驚くばかりだ。
そこにあったのは彼が生来持っていた勤勉さに加えて、音楽でもって我がお殿様を喜ばせようという「プロ意識」だったのだろう。
posted by 小澤和也 at 00:21| Comment(0) | 日記
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