2014年03月18日

"アムネリスの主題" 雑考

立川の公演が無事終わって2日経つが、僕の中にはまだAidaの余韻が残り香のようにただよっているようだ。
ふと気付くとあちらこちらのメロディを口ずさんでいる。
 
さて…
ヴェルディは様々な人物に、それぞれ魅力的なライトモティーフ(示導動機)を与えた。
とりわけ僕の心を打つのが「アムネリスの愛の主題」である。
 
この旋律が最初に登場するのは第1幕第1場、ラダメスとの二重唱のシーン。
王女らしい威厳を帯びた、中低弦とホルン・ファゴットによるノーブルな伴奏音型を伴って、ヴァイオリンによって柔らかく歌われる。
 
次いで、第2幕第2場、戦いで勝利をおさめ帰還したラダメスにアムネリスが花冠を差し出す場面。
同じくヴァイオリンの旋律に、光の筋のようなフルートの和音、美しい刺繍の文様のようなクラリネットの三連符が絡む。
 
そして…
第4幕冒頭、祖国への裏切りの罪で投獄されたラダメスを想うアムネリス。
三たびヴァイオリンで主題が歌われるが、一切の輝きは姿を消し(管楽器は用いられない)、あるのは重く、鈍く揺れ動く低弦の単調なリズムのみ。
 
あの高貴なメロディが、ここではなんと哀しく、切なく響くことか…
主旋律はすべて同じ楽器、しかも同じ調性でありながら(アイーダの愛の主題は登場のたびに楽器も調性も変わる)、絶妙のオーケストレーションによって絶頂から絶望のどん底までを表現したヴェルディの恐るべき手腕!
 
〜愛している、
私はあの人を今でも愛している…
絶望的な、無分別な愛、
私の人生を破滅させるこの愛〜
 
今回僕はこの場面を、ゲネプロからずっと舞台下手袖で聴いた。
アムネリスが絞り出すような声でこう歌うとき、あまりの凄絶さに毎回鳥肌が立つ思いだったのだ。
 
 
 
 
posted by 小澤和也 at 23:51| Comment(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。